HOKUTO編集部
2ヶ月前
2024年9月22~24日に英・エジンバラで世界食道学会が開催されました。 今年は日本食道学会との合同セッション (JES-ISDE Session) や日本食道学会主催のセッション (JES Session) も設けられ、 日本人の登壇者が例年以上に多い会となりました。 本稿ではISDE 2024における報告テーマのトレンドや注目セッションについて、 東邦大学大学院消化器外科学講座・臨床腫瘍学講座の島田英昭先生にご解説いただきました。
国際食道疾患会議 (ISDE 2024) の学術集会である世界食道学会 (20th World Congress of Esophageal Disease) が9月22~24日に、 世界遺産でもあるスコットランドの首都・エジンバラで開催された。 欧州、 アジアを中心として400演題/700人が参加し、 日本からも90人超が参加した。
昨年カナダ・トロントで開催されたISDE 2023は、 中国と日本からほとんど参加がなく、 やや寂しい内容であったが、 今回は、 コロナ以前と同様にほぼフルスペックでの開催となった。
私自身は、 3年前から理事、 今回からは3年任期の副理事長を拝命した。 日本食道学会理事長の竹内裕也先生がプログラム委員として食道扁平上皮癌を焦点としたセッションを企画したこともあり、 ISDE 2024は日本人が司会・講演者として登場するセッションが例年以上に多い印象であった。
従来は 「腺癌中心の欧米」 と 「扁平上皮癌中心のアジア」 という構図であったが、 今回は、 「世界における食道癌の70~80%は扁平上皮癌である」 という事実に基づき、 食道扁平上皮癌に焦点を当てたディスカッションが活発であった。
腫瘍内科領域のセッションでは、 術前・術後療法としての5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル (FLOT療法)、 化学放射線療法 (CRT)、 および進行再発癌への1次治療としての免疫チェックポイント阻害薬が、 ほぼすべてという印象だった。
一方、 2日目に行われた外科領域のセッションでは、 主たる論点は従来の胸腔鏡手術とロボット支援手術だった。 まだまだ比較試験の報告が少ないが、 後方視的研究では、 ロボット支援手術は胸腔鏡手術に比べて術後合併症が少ない傾向とする報告が多かった。 中国や韓国からの発表は、 症例数が多いものの2群間比較の背景の違いに課題があり、 やはり日本からの質の高い複数研究が重要だと感じられた。
最終日の午前中に開催された"JES Session : Cutting Edge of Esophagectomy in Japan"では、 日本における低侵襲手術の最新の知見が報告された。 会場からは多数の質問が寄せられ、 全体として日本の食道癌化学療法や食道手術への関心の高さが感じられた。
ISDEは2025年にオーストラリア・ブリスベン、 さらに2026年には京都で開催される。 京都開催へ向けて、 引き続きアジアからの発信力を高めてゆきたい。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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