HOKUTO編集部
11ヶ月前
65歳以上のHER2陽性進行乳癌患者を対象に、 1次治療におけるトラスツズマブ エムタンシン (T-DM1) の有効性および安全性をトラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル併用療法 (HPD療法) と比較検証した第Ⅲ相試験JCOG1607 HERB TEAの結果から、 T-DM1は全生存期間 (OS) においてHPD療法に対する非劣性を示さず、 年齢に関係なくHPD療法がHER2陽性進行乳癌の1次治療として標準治療であることが示された。 一方、 安全性のプロファイルはT-DM1で優れていた。 国立国際医療研究センター病院乳腺・腫瘍内科の下村昭彦氏が発表した。
HER2陽性進行乳癌患者に対する1次治療においては、 CLEOPATRA試験の結果を基にHPD療法が強く推奨されている。 しかし65歳以上の高齢患者にとって、 同レジメンを継続することは困難であり、 QOLを損なうことが多い。 HPD療法と比較して毒性が少なく、 有効性に劣らない、 高齢患者に対する新たな標準治療の開発が求められている。
65歳以上のHER2陽性進行乳癌患者で以下の基準を満たすもの
148例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた
主要評価項目
OS
副次評価項目
無増悪生存期間 (PFS)、 累積乳癌特異的生存割合、 奏効割合、 有害事象、 日常生活動作の維持割合
250例であったが、 148例登録時点で実施された中間解析でOSハザード比の推定値が非劣性マージンを超えたため、 早期中止となった (データカットオフ : 2022年12月22日)。
今回は2023年6月15日をデータカットオフ日とした結果が報告された。
2つの治療群間で同様であった。
両群いずれも未到達だった。
HR 1.263 (95%CI 0.677-2.357)、 片側p=0.95322
HR 1.358 (95%CI 0.907-2.033)、 p=0.95322
Grade3以上の有害事象 (AE) の発現はHPD群に比較してT-DM1群で少なく、 HPD群では特に白血球減少、 好中球減少、 下痢、 疲労、 食欲不振が多かった。
Grade3以上のAE発現率
T-DM1はOSにおいてHPD療法に対する非劣性を示さなかった。 一方、 安全性のプロファイルはT-DM1で優れていた。 HPD療法は年齢を問わず、 HER2陽性進行乳癌の1次治療として標準療法である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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