HOKUTO編集部
3ヶ月前
How I diagnose and treat systemic mastocytosis with an associated hematologic neoplasm.
Blood. 2025 Jan 14:blood.2023022416.
全身性肥満細胞症の診断・治療に関してBlood誌にまとめられていたので紹介する。
肥満細胞症は肥満細胞の増殖および皮膚や臓器への浸潤を特徴とする疾患群であり、 皮膚に限局する皮膚型肥満細胞症と臓器浸潤をきたす全身性肥満細胞症 (Systemic Mastocytosis: SM) に分類される。
SMはKIT D816V変異が95%の患者に認められ、 非進行性および進行性に分類される。 特にSM関連血液腫瘍 (SM-AHN: SM-Associated Haematological Neoplasm) は進行性SMの約70%を占め、 骨髄や血液の異常増殖を伴う複雑な遺伝子変異の組み合わせが特徴である。
診断には、 KIT変異の検出や組織学的検査が重要であり、 進行性SMの予後予測として、 IPSM*やMARS**などのスコアリングシステムが開発されている。 なお、 本邦の造血器腫瘍診療ガイドライン (2024年版) では本疾患について言及されていない。
WHO分類2022とICC*分類2022が提唱する臨床分類は以下の通りである。
- 色素性蕁麻疹/斑丘疹性皮膚型肥満細胞症
- びまん性皮膚型肥満細胞症
- 皮膚の肥満細胞腫
- 非進行性SM
- 進行性SM
WHO分類とICC分類で差分なし。
WHO分類2022とICC分類2022の差分は以下の通りである。
進行性SMの予後予測スコアについて、 IPSM-AdvSM、 MAPS、 MARS、 GPSMから、 臨床的および多様な分子学的特性を統合した予後スコアリングシステムが提唱されている。
対症療法として、 抗ヒスタミン薬やクロモグリク酸ナトリウムを投与する。
進行性SMの治療に、 KIT阻害薬 (Avapritinib、 midostaurin) の有効性が報告されている。
SM-AHNでは、 関連する血液腫瘍に応じた化学療法 (例: アザシチジン、 クラドリビン) を施行し、 高リスク患者には、 骨髄移植を考慮する。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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