能澤一樹 (名古屋市立大学大学院医学研究科共同研究教育センター臨床研究戦略部)
6ヶ月前
本連載は薬物療法の専門家による、 乳腺領域に役立つ情報をお届けする企画です。 第3回は、「おさえておきたい学会5選」をご紹介します。 (解説医師 : 名古屋市立大学大学院医学研究科共同研究教育センター臨床研究戦略部 先端医療・臨床研究開発学分野 特任講師 能澤一樹氏)
学会は自分の研究成果を発表する大事な機会です。 同時に、 最新の情報を得る学びの場であり、 さらには、 同じ志を持った仲間が集う交流の場でもあります。 特に初めての学会では、 準備に追われて大変なことが多々ありますが、 学会を終えた後の達成感は何にも代えがたい経験になると思います。
日本乳癌学会学術総会は、 乳癌診療における臨床医、 研究者、 看護師、 薬剤師など多職種が集まり、 乳癌の予防、 診断、 治療、 緩和ケアなど、 乳癌関連の多岐にわたるトピックについて最新の研究成果や治療法が各演者から報告されます。 特に、 チーム医療に関するプログラムが多く、 乳癌診療全体の質の向上を目指す学会になっています。
近年は、 学生にも広く門戸が開かれており、 「乳腺領域に興味はあるけれどまだ進路に迷っている」 ような人にお薦めの学会とも言えます。
第32回日本乳癌学会学術総会は、 ハイブリッド開催 (現地開催+Web配信) として2024年7月11日 (木) ~13日 (土) に仙台国際センターで開催される予定です。 また、 毎年それぞれの地域で乳癌学会の地方会が開催されています。
会期 : 2024年7月11日 (木) ~13日 (土)
会場 : 仙台国際センター東北大学百周年記念会館
SABCSはアメリカ合衆国テキサス州サンアントニオで毎年12月に開催され、 世界中から最新の研究データや臨床試験の結果が発表される、 乳癌専門の学会では世界最大規模のイベントです。
同学会は、 トランスレーショナルリサーチ (基礎研究と臨床研究の橋渡し) に特に強みを持っており、 新しい治療薬の開発や治療戦略の進化に大きく寄与しています。 また、 参加者間の交流も非常に活発で、 国際的な共同研究のきっかけとなる場所でもあります。 ぜひ参加して、 国際的な交流を図りたいところです。
会期 : 2024年12月10日 (火) ~13日 (金)
会場 : 米国テキサス州サンアントニオ
JSMOは、 乳癌に限らず、 癌治療における専門家が一堂に会し、 治療法、 研究の成果、 新薬の開発状況などを共有する、 国内で非常に重要な学会です。 特に、 薬物療法に関わるような臨床試験や国内で使用されている薬剤に関するデータが豊富であり、 日本での癌治療の最前線を知るには欠かせない場です。
近年は英語化が進んでおり、 国内では最も海外を意識した学会の1つになっています。
JSMO2025は、 2025年3月6日 (木) ~8日 (土) で神戸国際会議場にて開催予定です。
会期 : 2025年3月6日 (木) ~8日 (土)
会場 : 神戸国際会議場
ASCO Annual Meetingは毎年5月末~6月初めにかけて開催される、 癌研究の世界最大の集会です。 癌治療の未来を形作る新技術、 新たな治療法、 標準治療を塗り替えるような臨床試験の成果などが発表されます。
同学会においては特別講演、 教育セッション、 ポスターセッション、 企業展示などが行われ、 癌研究のあらゆる側面からの知識更新が可能です。 会場は非常に広く、 参加者の熱気には圧倒されます。 人生で一度は経験をしておきたい学会です。
今年は、 5月31日~6月4日にシカゴで開催予定です。
The 2024 ASCO Annual Meeting (ASCO 2024)
会期 : 2024年5月31日 (金) ~6月4日 (火)
会場 : 米国・シカゴ
ESMOは欧州を基盤に全世界の臨床腫瘍医と研究者が参加する大規模な会議で、 年に一度開催されます。 これまでは重要な臨床試験の結果はASCOで報告されることが多かったのですが、 近年はESMOでも数多くの重要な臨床試験が報告されるようになりました。
ESMOは毎年開催場所が異なることも1つの特徴であり、 参加者の楽しみになっているようです。 ESMO2024は2024年9月13日~17日でバルセロナにて開催予定です。
会期 : 2024年9月13日 (金) ~17日 (火)
会場 : スペイン・バルセロナ
さらに、 5月には乳癌に特化したESMO Breast Cancerも開催されています。
ESMO Breast Cancer Annual Congress 2024
会期 : 2024年5月15日 (水) -17日 (金)
会場 : ドイツ・ベルリン
乳腺の5選シリーズ
乳腺領域まとめコンテンツ
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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