インタビュー
11時間前

誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、 埼玉石心会病院 副院長 / 心臓血管外科部長の木山宏先生に話を聞いた。 (全3回の第3回)
手術を辞めかけた経験を経て、 「続ける」 だけでなく 「変える」 決断も――。 50歳から新しい挑戦をはじめた。
2015年、 同院心臓血管センター長の加藤泰之先生が着任した。
「初めて、 自分よりすべての手術がうまい年下の医師に出会いました」

自分では開胸手術に自信があった。 しかし加藤先生は明らかに自分を超えていた。
「だったら、 開胸手術にこだわっていてもしかたがない」
そう考え、 開胸手術は加藤先生に全て任せ、 自身は加藤先生が行っていないカテーテル治療に専念する道を選んだ。
ただ、 その決断は決して簡単ではなかった。
「50歳で新しいことにチャレンジできるのか、 という不安がありました。 ずっとやってきた開胸手術ができなくなる寂しさも入り混じり、 複雑でした」

その迷いは最初の2~3年続いた。 「中途半端はよくない」 と何度も自分に言い聞かせた。
「今はもう迷いはありません。 開胸手術から10年離れており、 もうできないですしね (笑) 」
今も、 石心会の理念のまま、 変わらない姿勢で医療に取り組んでいる。
「断らない医療」 「患者主体の医療」 「地域に根ざし、 地域に貢献する医療」 ——創始者の理念は、 自身の理想とも合致する。

「子どもの時に、 肘の痛みがあっという間に治ったあの感動を、 患者さんにも体験してもらいたい。 そういう思いで取り組んでいます」
現在は大動脈治療を中心に、 日々患者に向き合う。 手術の結果を学会などで発表し、 医療の発展に貢献したいと考えている。

若い医師にはこう伝えたい。
「自分が好きで楽しいことを一生懸命やってほしい。 ただ、 組織の中では協調性も忘れずに」
これまでを振り返ると、 その時その時は、 迷いもたくさんあった。 診療科を決めるのも悩んだ。 カテーテル治療の選択もすんなりできたわけではないが、 最終的には病院全体と地域のためを考えて決めた。
ただ、 後悔する選択はしていない。 「患者さんを手術して、 大勢の人を治したい」 という思いは変わらない。
「そのためにも自分が健康でいることが大事。 できる限り長く患者さんを治し続けたいです」


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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