海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Petrylakらは、 前治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC) 患者を対象に、 ペムブロリズマブ (Pembro) +ドセタキセル (DTX) 併用療法の有効性および安全性を、 プラセボ+DTX併用療法と比較評価することを目的として、 第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験KEYNOTE-921を実施した。 その結果、 Pembroを上乗せしても、 臨床転帰に有意な改善は認められなかった。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
サンプルサイズの拡大や追跡期間の延長があれば、 有効なサブグループを特定できた可能性があり、 limitationといえます。
DTXは、 第2世代アンドロゲン受容体経路阻害薬 (ARPI) 治療後のmCRPCに対する標準治療とされている。 一方で、 mCRPCに使用されているタキサン系化学療法を含む全身療法は、 無増悪生存期間 (PFS) が比較的短く、 効果的な治療選択肢が必要とされている。
そこで、 DTXへのPembro上乗せによる臨床的有効性を第Ⅲ相試験KEYNOTE-921で検討した。
アンドロゲン除去療法およびARPI投与後に進行した前治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC) 患者1,030例が以下の2群に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は盲検独立中央判定による放射線学的無増悪生存期間 (rPFS) および全生存期間 (OS) であった。 安全性は副次評価項目とした。
最終解析時 (データカットオフ 2022年6月20日) までの期間中央値は22.7ヵ月 (範囲 12.1-36.7ヵ月) であった。
最初の中間解析時 (データカットオフ 2021年9月27日)、 主要評価項目であるrPFS中央値はPembro併用群が8.6ヵ月 (95%CI 8.3-10.2ヵ月)、 PBO群が8.3ヵ月 (95%CI 8.2-8.5ヵ月) であった (HR 0.85 [95%CI 0.71-1.01]、 p=0.03)。
また、 最終解析時、 主要評価項目であるOS中央値は、 それぞれ19.6ヵ月 (95%CI 18.2-20.9ヵ月)、 19.0ヵ月 (95%CI 17.9-20.9ヵ月) であった (HR 0.92 [95%CI 0.78-1.09]、 p=0.17)。
Grade 3以上の治療関連有害事象 (TRAE) は、 Pembro併用群の43.2%、 PBO群の36.6%に発現した。
TRAEによる死亡はそれぞれ2例、 7例であった。 最も多く報告された免疫介在性有害事象は肺臓炎で、 それぞれ7.0%、 3.1%に認められた。
著者らは 「DTXに対するPembro上乗せで、 前治療歴のあるmCRPC患者の転帰に有意な改善は認められなかった。そのため、現在の標準治療に変更はないと考えられる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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