海外ジャーナルクラブ
5日前

Oldenburgらは、 非狭窄性で免疫調節薬抵抗性の回盲部クローン病 (CD) 患者を対象に、 腹腔鏡下回盲部切除術と抗TNF-α抗体インフリキシマブによる薬物治療の長期転帰を、 多施設共同無作為化比較試験LIR!Cの10年間にわたる後ろ向き追跡調査で評価した。 その結果、 回盲部切除術はインフリキシマブと比べて10年無治療寛解率が有意に良好であり、 持続的な臨床的寛解において若年患者でより大きなベネフィットが得られる可能性が示唆された。 本研究はLancet Gastroenterol Hepatol誌において発表された。
本研究は事前に規定されていない探索的な後ろ向き解析であり、 治療の非標準化、 内視鏡評価不足、 小規模サンプルおよび選択バイアスの影響を受けるため、 結果の解釈には慎重さが必要です。
LIR!C試験では、 非狭窄性で免疫調節薬抵抗性の回盲部CD患者において、 腹腔鏡下回盲部切除術がインフリキシマブに代わる有効な選択肢であり、 生活の質 (QOL) の転帰も同等であることが示された。
そこで本研究では、 両治療における長期的な無治療寛解率および臨床的寛解率に焦点を当て、 本試験参加者の10年間の転帰を後ろ向き追跡調査で評価した。
LIR!C試験終了時から最終フォローアップまでの期間におけるCD関連治療の開始・変更および (再) 切除術などの事象を記録した。
非狭窄性で免疫調節薬抵抗性の回盲部CD患者129例が以下の2群に分類された。
評価項目は、 無治療寛解*および臨床的寛解**であった。 また、 事後解析として、 10年臨床的寛解率における年齢依存的な効果修飾の可能性を評価した。
対象患者の66%が女性、 34%が男性、 無作為化時の年齢中央値は28歳 (四分位範囲 [IQR] 23-41歳) であった。
追跡期間中央値11年 (IQR 9-14年) における10年無治療寛解率は、 回盲部切除群が35.8% (95%CI 25.6-50.1%) であり、 インフリキシマブ群の13.2% (95%CI 6.1-23.2%) と比べて有意に良好であった (群間差 22.6%㌽ [95%CI 7.8-36.8%㌽]、 p=0.0038)。
10年臨床的寛解率は、 回盲部切除群が36.5% (95%CI 26.2-50.8%)、 インフリキシマブ群が28.4% (同18.9-42.5%) であり、 両群間に有意差は認められなかった (HR 0.79 [95%CI 0.52-1.20]、 p=0.27)。
探索的相互作用解析では、 回盲部切除術が臨床的寛解率に及ぼす影響は年齢に依存する可能性が示唆された (交互作用p=0.020)。
20歳の患者における推定10年臨床的寛解率は、 回盲部切除群が54% (95%CI 37-72%)、 インフリキシマブ群が24% (同12-44%) であり (群間差 30%㌽ [95%CI 7-53%㌽])、 一方で30歳の患者では、 それぞれ38% (95%CI 27-53%)、 28% (95%CI 18-43%) であった (群間差10%㌽ [95%CI -6-26%㌽])。
著者らは 「回盲部切除群では、 インフリキシマブ群と比べて10年無治療寛解率が良好であり、 持続的な臨床的寛解という観点では、 高齢患者と比べて若年患者で大きなベネフィットが得られる可能性が示唆された。 これらの知見は、 疾患経過の初期段階にある回盲部CDに対して、 回盲部切除術が有望な早期治療選択肢であることを支持するものである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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