切除不能肝細胞がんの一次治療、「STRIDEレジメン」は有力な選択肢
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HOKUTO編集部

2年前

切除不能肝細胞がんの一次治療、「STRIDEレジメン」は有力な選択肢

切除不能肝細胞がんの一次治療、「STRIDEレジメン」は有力な選択肢
切除不能な肝細胞がん(HCC)の一次治療の選択肢として、 抗PD-L1抗体デュルバルマブ (商品名:イミフィンジ®)+抗CTLA-4抗体トレメリムマブ (商品名:イジュド®) 併用療法 「STRIDEレジメン」は有力となるーー。千葉大学消化器内科学教授の加藤直也氏が4月4日、 イジュド®が薬価基準収載された (3月15日付)ことを受けて開催されたアストラゼネカ社主催のメディアセミナーで説明した。

従来はアテゾリズマブ+ベバシズマブを推奨

進行HCCの一次治療における第一選択薬について、 『肝癌診療ガイドライン2021年版』では、 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+抗VEGF抗体ベバシズマブ併用療法が推奨されている。 この適用がない場合、 第二選択薬としてソラフェニブなどを使用する診療アルゴリズムが示されている。

切除不能肝細胞がんの一次治療、「STRIDEレジメン」は有力な選択肢
肝癌診療ガイドライン2021年版をもとに作図

📅アテゾリズマブ+ベバシズマブ

切除不能肝細胞がんの一次治療、「STRIDEレジメン」は有力な選択肢

STRIDEはソラフェニブ群に比べOSを有意に延長

一方、 STRIDEレジメンは2022年末、 第Ⅲ相ランダム化比較試験HIMALAYAの結果に基づき承認された。 同試験において、 STRIDEレジメンは標準治療であるマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブを投与する群と比べ、 全生存期間(OS)を有意 (P=0.0035) に延長した。

STRIDEレジメンとアテゾリズマブ+ベバシズマブでOS中央値を比較すると、 アテゾリズマブ+ベバシズマブが19.2カ月であったのに対し、 STRIDEレジメンでは16.43カ月と短い。 奏効率もSTRIDEレジメンが20%、 アテゾリズマブ+ベバシズマブが20%台後半となっている。

これらを見るとアテゾリズマブ+ベバシズマブの方がインパクトが強いが、 STRIDEレジメンは一定期間後に生存曲線が平坦になって下がらなくなるテールプラトーとなっている。

切除不能肝細胞がんの一次治療、「STRIDEレジメン」は有力な選択肢
加藤直也教授

どちらを第一選択薬にするべきか

では、どちらを第一選択薬にするべきか。どちらかしか使えない欧米では、 ベバシズマブの禁忌や、 免疫チェックポイント阻害薬の禁忌がない場合は、 OS中央値が長いアテゾリズマブ+ベバシズマブが推奨されている。 ただ、 日本の場合は、 STRIDEレジメンとどちらを先に使ったほうが効果的かを探る必要がある。

加藤氏は 「OS延長を目標に据え、 最適な治療を選択することが大切。 CTLA-4を制御するSTRIDEレジメンは予後改善に重要な肝予備能を維持する可能性がある」とした上で、「炎症なしのタイプが3分の2を占める肝細胞がんではプライミングの強化が必要となる。 この点、 STRIDEレジメンは理にかなっており、 一次治療の有用な選択肢となる」との見解を示した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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