血管新生阻害剤での治療歴を有する進行性または転移性腎細胞癌患者において、 ニボルマブ投与の効果を、 エベロリムス投与を対照に検証した比較試験CheckMate 025の結果より、 全生存期間 (OS) 、 無増悪生存期間 (PFS) 、 奏効率 (ORR) に対する有益性が示された。
原著論文
▼中間解析結果
Nivolumab versus Everolimus in Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med. 2015 Nov 5;373(19):1803-13. PMID: 26406148
▼追跡結果
Nivolumab versus everolimus in patients with advanced renal cell carcinoma: Updated results with long-term follow-up of the randomized, open-label, phase 3 CheckMate 025 trial. Cancer. 2020 Sep 15;126(18):4156-4167. PMID: 32673417
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CheckMate 025試験の概要
対象
血管新生阻害剤での治療歴を有する進行性または転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者
方法
803例を以下の2群に1:1で割り付けた。
ニボルマブ3mg/kgを2週毎投与
エベロリムス10㎎を1日1回経口投与
評価項目
- 主要評価項目:全生存期間 (OS)
- 副次評価項目:奏効率 (ORR)、 無増悪生存期間 (PFS) 、 OSとPD-L1発現との関連、 安全性、 健康関連QoL (HRQoL)*
*Functional Assessment of Cancer Therapy Kidney Symptom Index–Disease-Related Symptoms (FKSI-DRS) を使用し評価
CheckMate 025試験の結果
患者背景
両群で同様であった。
OS
(95%CI 22.2-29.8ヵ月)
(95%CI 17.6-22.1ヵ月)
HR0.73 (95%CI 0.62-0.85)、 p<0.0001
- 3年時、 4年時、 5年時のOS率
- ニボルマブ群:39%、 30%、 26%
- エベロリムス群:30%、 23%、 18%
PFS中央値
(95%CI 3.7-5.4ヵ月)
(95%CI 3.7-5.5ヵ月)
HR 0.84 (95%CI 0.72-0.99)、 P=0.0331
- 3年時、 4年時、 5年時のPFS率
- ニボルマブ群:9%、 6%、 5%
- エベロリムス群:2%、 1%、 1%
OSとPD-L1発現との関連 (初回報告のみで評価)
PD-L1発現を評価できたのは、 ニボルマブ群370例 (90%) 、 エベロリムス群386例 (94%) であった。
- PD-L1発現が1%以上の患者のOS中央値 181/756例 (24%)
- ニボルマブ群:21.8ヵ月
(95%CI 16.5-28.1ヵ月)
(95%CI 11.9-19.9ヵ月)
HR 0.78 (95%CI 0.53-1.16)
- PD-L1発現が1%未満の患者のOS中央値 575/756例 (76%)
- ニボルマブ群:27.4ヵ月
(95%CI 21.4ヵ月-推定不能)
(95%CI 17.7ヵ月-26.2ヵ月)
HR 0.76 (95%CI 0.60-0.97)
ORR
(95%CI 18.9-27.3%)
(95%CI 2.4-6.5%)
オッズ比 6.86 (95%CI 4.0-11.7)、 P<0.0001
奏効までの期間 (中央値)
- ニボルマブ群:3.5ヵ月
- エベロリムス群:3.7ヵ月
奏効期間 (中央値)
(95%CI 12.9-25.8ヵ月)
(95%CI 8.3-19.2ヵ月)
HRQoL
- ニボルマブ群において、 FKSI-DRSはベースラインから急速かつ持続的に改善がみられた。
- エベロリムス群では、 ベースラインからの平均変化量は変わらない、 もしくは悪化がみられた。
有害事象 (AE)
治療関連AE (グレード3以上) の発現率
- ニボルマブ群:21.4%
- エベロリムス群:36.8%
後治療
後治療として抗癌剤治療を受けたのは、 ニボルマブ群276例 (67.3%)、 エベロリムス群296例 (72.0%) であった。 試験薬最終投与からその後の全身療法までの期間中央値 (95%CI) は、 ニボルマブ群で7.9週間 (95%CI 6.1-9.0週間) 、 エベロリムス群で5.1週間 (95%CI 4.3-6.0週間) であった。
著者らの結論
- 血管新生阻害剤での治療歴を有する進行性または転移性腎細胞癌患者において、 ニボルマブ投与はエベロリムス投与と比較し、 OSとPFSを有意に延長させ、 ORRが高いことが示された。
- ニボルマブ投与例ではエベロリムス投与例よりもその後の抗癌剤治療を必要とする割合が低かったことから、 ニボルマブ投与中止後も抗腫瘍効果が持続することが示唆された。