HOKUTO編集部
6ヶ月前
免疫調節薬レナリドミドを含む1ライン以上の治療歴を有する多発性骨髄腫に対するBPd療法の効果を、 PVd療法を対照に検証した第Ⅲ相多施設共同非盲検無作為化比較試験DREAMM-8の結果より、 BPd療法によるPFSの有意な延長が示された。 カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのSuzanne Trudel氏が発表した。 同試験の詳細は、 N Engl J Med (2024年6月2日オンライン版) に同時掲載された¹⁾。
新規に診断された多発性骨髄腫の標準治療は、 プロテアソーム阻害薬、 免疫調整薬、 抗CD38抗体を含む3剤/4剤併用療法であり、 初回再発時にはこれらの薬剤への抵抗性が問題となる。 そのため、 再発/難治多発性骨髄腫に対する新たな作用機序の薬を組み込んだ併用療法が必要とされている。
既報のDREAMM-7試験では、 1ライン以上の前治療歴がある再発・難治多発性骨髄腫患者において、 BCMA標的抗体薬物複合体(ADC)belantamab mafodotin+プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BVd)併用療法は抗CD38抗体ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン (DVd) 併用療法と比較し、 無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善した²⁾。
DREAMM-8試験では、 レナリドミドを含む治療歴のある再発・難治多発性骨髄腫を対象に、 belantamab mafodotin+ポマリドミド+デキサメタゾン (BPd) 療法とボルテゾミブ+ポマリドミド+デキサメタゾン (PVd) 療法が比較検討された。
レナリドミドを含む1ライン以上の治療歴を有し、 直近の治療中または治療後に病勢進行が確認された多発性骨髄腫の成人患者
302例を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
主要評価項目
PFS
副次的評価項目
全生存期間(OS)、 微小残存病変(MRD)陰性率、 奏効期間(DOR)
その他の副次的評価項目
奏効率 (ORR)、 完全奏効 (CR) 以上の割合、 最良部分奏効 (VGPR) 以上の割合、 無作為化から担当医の評価による病勢進行または何らかの原因による死亡までの期間 (PFS2)、 QOL、 安全性など
両群で概ね同様だった。
国際病期分類 (ISS) のStage
細胞遺伝学的異常
レナリドミドに耐性
抗CD38抗体に耐性
21.8ヵ月
データカットオフ時点の治療継続率
PFS
【中央値(95%CI)】
HR 0.52、 95%CI 0.37-0.73、 p<0.001
【12ヵ月PFS率】
【サブグループ解析】
事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、 BPd群のPVd群に対する優位性が一貫して認められた。
細胞遺伝学的異常ありのグループ
レナリドミドに耐性ありのグループ
抗CD38抗体に耐性ありのグループ
OS
中央値は両群ともに未到達でimmatureな状態だったが、 BPd群で良好な傾向を認めた。 追加の経過観察が進行中である。
【中央値(95%CI)】
HR 0.77、 95%CI 0.53-1.14
【12ヵ月OS率】
【MRD陰性率】
≧CR患者
≧VGPR患者
DOR
【中央値 (95%CI) 】
【12ヵ月DOR率】
【ORR(95%CI)】
【≧CR(厳格な完全奏効[sCR]+CR)の割合】
【≧VGPR(sCR+CR+VGPR)の割合】
PFS2
【中央値(95%CI)】
HR 0.61、 95%CI 0.43-0.86
【12ヵ月PFS2率】
QOL
EORTC QLQ-C30 Global Health Statusで評価され、 両群で長期に渡り安定した状態を維持した。
Grade3/4のAE
全GradeのAE
眼症状での治療中止率
以上より、 Trudel氏は 「レナリドミドを含む1ライン以上の治療歴を有する再発・難治多発性骨髄腫に対するBPd療法は、 PVd療法に比してPFSを有意に改善した。 、 安全性と忍容性は個々の薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。 本試験はDREAMM-7試験の結果と併せ、 belantamab mafodotin併用療法が同患者の初回再発時以降の新たな標準治療となり得ることを示した」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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