寄稿ライター
1年前

連載 「医師による医師のための財テク術」 の24回目は、 一棟投資で一攫千金が狙えると話題の 「地方の高利回り投資」 について考察します。 筆者自身は一棟投資について関心はあるものの、 まだ始めておりません。 一緒に勉強していければ幸いです。
連載23回目で紹介した一棟投資は、 基本的には都心部などの需要がある地域を狙います。 ただ、 都心部の物件価格は非常に高騰しており、 家賃を高めに設定できたとしても利回りは3~5%程度と低くなってしまいます。 高額な物件に投資する恐怖心もあるでしょう。
その点、 地方には利回りが高い物件がゴロゴロしており、 都心部に比べて価格も手頃です。 「失敗してもリスクが少ない」 との考えで検討している人もいるでしょう。

利回りは以下の式で求められます。
・表面利回り=年間家賃収入 ÷ 不動産価格
・実質利回り= (年間家賃収入-年間コスト) ÷ (不動産価格+購入時コスト)
投資家として重視したいのは、 実際の手取りに反映される実質利回りです。 しかし、 年間にかかるコスト (特に空室率や修繕費など) を正確に予測することは難しく、 表面利回りを指標とすることが多いです。
注意したいのは、 購入検討段階での資料では、 表面利回りが満室想定になっていることです。 「資料では利回り15%となっていたのに、 実際は空室率50%でまったく利回りが出せない」 というのは、 よく聞く話です。

日本は今後ますます人口が減少します。 【図1】のように多くの自治体が消滅の危機に瀕するとされ、 地方はより強く影響を受けるでしょう。
より細かい自治体ごとの人口推計は国立社会保障・人口問題研究所の統計をご覧下さい。
消滅危機に地方の自治体に物件を持っていると、 管理費や修繕費、 固定資産税ばかりがかさみ、 売るに売れない 「負動産」 となってしまう可能性があります。 地方物件で成功したスキームを披露するセミナーもありますが、 これからの時代に同様に通用するのかは吟味が必要です。

「地方は色々なコストが割安になる」 というイメージがあるかもしれませんが、 実際は逆です。 物件は必ず老朽化し、 入居者の入れ替えがあるため、 修繕費はかかります。 修繕費は施工内容に応じた単価が提示されます (例 : 面積あたり○円) が、 実は地方のリフォーム業者の方が割高なケースが多いとされています。 競合他社が少ないなどの理由からです。
つまり、 単一面積あたりの家賃は、 都心に比べて地方が圧倒的に安いにも関わらず、 修繕費は高くなるため、 ランニングコストが積み重なって実質利回りを低下させてしまうのです。
地方は需要が少ないため、 きちんとリフォームして差別化しないと空室が埋まらないリスクが高まります。 家賃を下げて需要を呼び込むという方法もありますが、 家賃滞納などをする不良入居者が入ってくるリスクが高まり、 頭を悩ませることになりかねません。

地方は土地値が安く、 どうしても建物比率が高くなります。 土地値が低いと銀行評価がつきにくく、 自己資金を多く要求されたり、 金利が高く設定されたりする可能性が高いです。
また、 建物部分の減価償却が大きいと、 銀行から 「債務超過状態」 と評価される可能性があります。 次の物件の融資が受けにくくなり、 資産拡大の足枷になりかねないでしょう。
上記の注意点を踏まえた上で、 地方高利回り不動産が向いているのは以下の条件に当てはまる人でしょう。
・永続的に利益を生み出せる企業都市に縁がある人
・修繕費を補うためのDIYが苦ではない人
・融資が組めず、 限られた現金で勝負するしかない人
地方で生き残るためには、 トヨタがある愛知県など、 世界的な大企業に勤務する人の住宅需が見込めることが重要になると考えます。
大学近くでの学生需要を見込んだ物件は、 少子高齢化で大学が消失・移転するリスクがあるため、 あまりお勧めできません。
修繕費を家賃から補うのが厳しいとなれば、 自分でDIYするしか採算がとれない可能性もあり、 DIYが楽しくないと辛いでしょう。 ただ、 多忙な医師が目指す不労所得の獲得は方向性が異なりますので、 不動産業者の勧誘を鵜呑みにしないようご注意下さい。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
今回で不動産の話はいったん終了し、 次回からは新NISA制度について考察します。

¹⁾ 日本経済新聞 : 自治体、 2040年に半数消滅の恐れ 人口減で存続厳しく (2014/5/8)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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