海外ジャーナルクラブ
25日前
Liらは、 関節リウマチ (RA) を対象に、 RAと気管支拡張症リスクの因果関係について、 双方向メンデルランダム化 (MR) 研究を用いて検証した。 その結果、 RAは気管支拡張症のリスクを上昇させることが明らかにされた。 その一方で、 気管支拡張症がRAのリスクを上昇させる証拠は示されなかった。 本研究はFront Medにて発表された。
メンデルランダム化は曝露要因 (リスク因子) と因果関係を有し、 なおかつ交絡因子とは因果関係のない遺伝子多型を用いて、 曝露群と非曝露群とで疑似的なランダム化を実現するという手法です。 観察研究でありながら、 因果関係も議論できるのが強みです。
過去の観察研究によりRAと気管支拡張症の関連が示唆されてきたが、 両疾患における因果関係の有無は明らかにされていない。
そこで本研究では、 遺伝的に予測されたRAにおける気管支拡張症リスクとの関連および逆の関連を調査した。
RAおよび気管支拡張症患者のゲノムワイド関連研究 (GWAS) データをそれぞれ収集して、 両疾患の関連を検討した。
単変量メンデルランダム化 (UVMR) 解析には、 逆分散加重 (IVW) 推定を主な方法に用いた。 加えて、 双方向MR解析、 再現MR解析、 多変量MR (MVMR) 解析、 媒介分析、 感度分析も行った。
IVW推定を用いたUVMR解析の結果、 RAは気管支拡張症リスクの増加に関連することが確認された (オッズ比[OR] 1.18、 p=2.34×10⁻⁶)。 再現MR解析でも同様の傾向が示された。
また、 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) およびグルココルチコイドの処方を調整したMVMR解析でも、 オッズ比は一貫した推定値を示した (OR 1.19、 1.18)。
さらに媒介分析の結果、 RAが気管支拡張症に対して及ぼす影響の58%は、 免疫抑制薬を介していることが明らかにされた。
一方で、 双方向MR解析の結果、 気管支拡張症がRAリスクに及ぼす因果関係の証拠は認められなかった (OR 1.30、 p=0.0562)。
著者らは 「遺伝的に予測されたRAと気管支拡張症リスクの増加には正の因果関係があった。 この結果は、 RA患者における気管支拡張症の早期予防の重要性を強調している。 また、 免疫抑制薬がRAに伴う気管支拡張症の発症を促進している可能性が示唆された」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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