海外ジャーナルクラブ
1年前
Fordらは、 プライマリケアにおける過敏性腸症候群 (IBS) の2次治療における低用量アミトリプチリンの有効性と安全性を二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験ATLANTISで検討した。 その結果、 低用量アミトリプチリンはプラセボと比較し、 6ヵ月後のIBS重症度を改善し、 安全性と忍容性も良好であることが示された。 本研究は、 Lancet誌において発表された。
ガイドラインに2次治療として低用量の三環系抗うつ薬の使用が推奨されています。 ただ、 プライマリケアにおけるエビデンスの不足から、 処方されることは少ないという背景があり、 今回の研究がなされています。 今後、 各種ガイドラインの記載のエビデンスを補強するような研究がどんどん増えてくると思います。
トリプタノール錠10 / 25
IBS患者の多くはプライマリケアで治療されており、 1次治療の効果が得られない場合、 英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは2次治療として低用量の三環系抗うつ薬の使用が推奨されている。 しかしプライマリケアにおけるエビデンスの不足から、 処方されることは少ない。
Rome IVの基準を満たすIBSを有する18歳以上の患者;463例
患者を以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け
投与期間は6ヵ月。 症状および忍容性に応じて3週間かけて用量が漸増 (1日1回30mgまで) され、 試験期間中は症状や副作用に応じて変更可とした。
6ヵ月後時点IBS症状
主要評価項目
6ヵ月後のIBS-SSSスコアにおいて、 アミトリプチリン群はプラセボ群に比較し、 有意に優れていた。
群間差:-27.0点、 95%CI:-46.9--7.1、 p=0.0079)
6ヵ月以内に投与中止に至った患者
重篤な有害事象
試験薬とは無関係の重篤な有害事象
プライマリケアにおけるIBSの2次治療として、 低用量アミトリプチリンはプラセボに比し、 6カ月後のIBS症状を改善し、 安全性と忍容性も良好であることが示された。 1次治療が効果的でないIBS患者において、 用量漸増を導く適切な支援とともに、 低用量のアミトリプチリンの処方を考慮することが推奨される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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