HOKUTO編集部
4ヶ月前
本年5月17日、 治癒切除不能な胆道癌の1次治療において、 抗PD-1抗体ペムブロリズマブがゲムシタビン+シスプラチン(GC療法)との併用療法 (GCP療法) で承認されました。 そこで、 同承認に基づいた第Ⅲ相試験KEYNOTE-966の情報も含めて、 HOKUTO内のGCP療法に関連するコンテンツをまとめました。 ぜひご活用ください。
神奈川県立癌センター消化器内科 (肝胆膵) 部長
進行または切除不能な胆道癌の1次治療において、 GC療法への抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用効果を検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験KEYNOTE-966の結果から、 主要評価項目の全生存期間(OS)の有意な延長が認められた。
TOPAZ-1試験では、 GC療法24週後はデュルバルマブ単剤とプラセボ単剤群の比較が行われ、 KEYNOTE-966試験では、 GC療法24週後はプラセボ群ではゲムシタビン単剤投与が、 試験治療群ではゲムシタビン+ペムブロリズマブが投与された。
これは、 世界規模での試験の場合、 GC療法24週後に、 ゲムシタビン単独治療なのか、 経過観察なのか、 さまざまな実臨床での治療が存在していることによる。
試験間の詳細な比較は避けるべきだが、 標準治療群の治療成績を見ると、 標準治療としてゲムシタビン単独療法を24週後に継続すると、 やや良好な成績を示しているように思われる。 KEYNOTE-966試験でのHR0.83は、 そのようなゲムシタビン継続群との比較であったことも留意しておく必要がある。
免疫介在性有害事象の発現は、 TOPAZ-1試験では、 全Gradeで2.7%と低頻度であったが、 KEYNOTE-966試験では、 22%と報告されている。
一方で、 治療奏効期間中央値は、 TOPAZ-1試験では6.4ヵ月であったのに対し、 KEYNOTE-966試験では9.7ヵ月と報告されている。
直接の比較は難しいが、 抗PD-1抗体は効果もあるが毒性も多く出現し、 抗PD-L1抗体では効果はマイルドだが毒性が少ないのかもしれない。
進行胆道癌としてTOPAZ-1試験に基づくGC+デュルバルマブとKEYNOTE-966試験に基づくGC+ペムブロリズマブが薬事承認され、 標準治療として実臨床で用いられている。 現時点のデータからは、 ほぼ同等の治療成績といえるが、 両者は、 8コース後に、 ゲムシタビンを中止するか、 継続するか、 異なるレジメン構成となっている。
胆道癌薬物療法では、 2次治療への移行割合は、 過去の臨床試験から50%程度と決して高くない。 ゲムシタビン継続レジメンとして、 GC+ペムブロリズマブを選択するかどうかは、 1次治療中止後に、 ゲムシタビンを再投与可能であるかがポイントとなる。 全身状態、腫瘍量など考慮し、 2次治療としてゲムシタビンの再投与が難しいと想定される状況では、 GC+ペムブロリズマブを選択することになるであろう。
胆道癌の免疫チェックポイント阻害薬治療では、頻回に生じる胆管炎での抗生剤使用の影響、 制吐目的のステロイドの影響など、議論すべき課題が多く残っている。今後 胆道癌免疫チェックポイント阻害薬治療に、多くの関連データが登場することを期待したい。
2022年以降、 胆道癌の治療にもICIが加わり、 1次治療として GCP療法とGCD療法の2レジメンを選択することが可能となった。 本稿では、 使い分けを考えるため、 6つのポイントで比較を行っていく。
KEYNOTE-966試験においてGCP (GC+ペムブロリズマブ) 療法のGC療法に対する優越性も示されており⁵⁾、 国内でも使用可能になる可能性があるため、 その際の使い分けが問題となる。 現時点ではOSにおける上乗せや、 有害事象の増加なども同等であり同列の標準治療としての評価になることが予想される。
本邦においては、 医療費が高額になると、「高額療養費制度」 が利用でき、 医療費の自己負担を軽減することができる。 しかし、 医療経済の観点からは有効性、安全性に加え、 「コスト」も重要な要素の一つとなる。 本稿では、 胆道癌レジメンを比較した (BSA 1.5m²で計算)。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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