海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前
Jeonらは関節リウマチ (RA) 患者を含む約23万例を対象に、 韓国におけるRA診断後の血清自己抗体反応および疾患修飾性抗リウマチ薬 (DMARD) 使用とうつ病との関連について、 コホート研究で検討した。 その結果、 非RA患者と比べRA患者では、 血清自己抗体反応の有無にかかわらずうつ病リスクが高かったが、 DMARD使用により同リスクの低減が認められた。 本研究はJAMA Netw Openにおいて発表された。
国民健康保険サービスのデータベース研究であるために、 関節リウマチの活動性、 うつ病の状態ともに不明です。 この点がデータベース研究の大きなlimitationであり、 JAMAOpen誌への採用に留まっています。
うつ病はRAに最もよくみられる合併症の1つである。 しかしRA患者における自己抗体や、 患者に対するDMARD使用がうつ病に及ぼす影響について、 詳細は明らかにされていない。
RA患者、 および年齢、・性別・診断日を1:5の割合でマッチングした非RA例 : 23万922例
韓国国民健康保険サービスのデータベースを基に、 2010~17年に登録された参加者を2019年まで追跡した。 データ解析は2023年5月に行われた。
SPRA/SNRAの定義
血清自己抗体反応陽性RA (SPRA) は、 国際疾病分類第10版 (ICD-10) コードM05および韓国の希少難治性疾患 (RID) プログラムに登録された者から定義された。
血清自己抗体反応陰性RA (SNRA) は、 ICD-10コードM06 (M06.1およびM06.4を除く) およびDMARDを270日以上処方されている例と定義された。
診断日は、 SPRA例ではRIDプログラムの登録日、 SNRA例では最初にRA関連のICD-10コードが付与された日と定義された。
新たに診断されたうつ病
RA患者はうつ病のリスクが1.66倍高かった。
調整後HR 1.66 (95%CI 1.61-1.71、 p<0.001)
- SPRAとうつ病リスク上昇の関連
調整後HR 1.64 (同 1.58-1.69、 p<0.001)
- SNRAとうつ病リスク上昇の関連
調整後HR 1.73 (同 1.65-1.81、 p<0.001)
生物学的抗リウマチ薬 (bDMARD) または分子標的型合成抗リウマチ薬 (tsDMARD) の投与例では、 非投与例と比べてうつ病リスクが低かった。
調整後HR 1.33 (同 1.20-1.47、 p<0.001)
著者らは 「自己抗体反応の有無にかかわらず、 RAとうつ病リスクとの間には強い関連があることが明らかにされた。 本研究結果は、 RA患者におけるメンタルヘルスの早期スクリーニングと介入の重要性を示唆している」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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