寄稿ライター
7ヶ月前

2024年度、 医療機関の倒産件数が過去最多を記録しました。 今後、 開業して大丈夫なのか・開業するなら、 どんな方法がいいのか。 医院の開業支援などを手掛けるMRTメディアパートナーズの担当者が解説します。
療機関の倒産が急増している背景には、 物価や人件費の高騰などによる経営悪化があります。 さらに、 後継者不在やオーナー医師の体調不良などによる廃業も増加しており、 帝国データバンクは2026年には倒産・休廃業件数が1000件に達すると予測しています。
加えて、 再診料や薬剤費の抑制、 医療費適正化政策の影響を受け、 特に都市部では開業医の競合も激化しています。 「今後、 開業しても大丈夫なの?」 という声があるのも事実です。

弊社としては、 「開業=リスクが高い」 と一概には言い切れないと考えています。 高齢化が進む地方都市や、 かかりつけ医不足が課題とされるエリア、 小児科や皮膚科などの診療科では、 今も明確な医療ニーズが存在します。
適切な立地選定と綿密な事業計画があれば、 安定した運営は十分可能です。 重要なのは、 「勢いや理想だけで踏み切らず、 数字と情報をもとに冷静に開業の是非を判断すること」 です。
開業を視野に入れる場合、 “新規開業”と“事業承継”のいずれを選ぶべきかという問いに直面するケースが多いです。
弊社では、 新規開業と承継の双方を支援していますが、 最近では承継を希望するケースが明らかに増えています。 その理由のひとつが、 新規開業の難易度が上がっていることです。

新規開業の最大のメリットは、 「理想の医療」 を実現できる自由度です。 診療方針・立地・設備など、 すべてを自分で決定できます。
しかし、 ご承知の通り、 多額の初期費用がかかります。 内装工事費や医療機器の購入費、 物件取得に伴う保証金などを含め、 初期費用が数千万円単位になることも珍しくありません。
開業時には当然ながら患者ゼロからのスタートとなり、 安定した黒字化までには一定の時間と運転資金が必要です。 見込み患者の動向や、 地域内の競合クリニックの影響など、 予測がつかない変数を抱えながら事業をスタートする不安は想像以上に大きいものです。

一方、 事業承継では既存のクリニックを引き継ぐ形になるため、 立地や診療圏の自由度は制限されます。
ただ、 最大のメリットは 「既に患者がいる」 という点です。 医師交代により一定数の患者が離れる可能性はあるものの、 大半は継続受診をする傾向にあります。
初期費用の面でも新規開業より抑えられるケースが多くあります。 譲渡に伴う営業権の取得費用こそ発生しますが、 内装や医療機器は既存設備を簿価で引き継ぐケースが主流で、 追加投資は最小限で済みます。 既存スタッフをそのまま引き継ぐことで、 採用費や研修コストも不要になります。
経営的視点から見れば、 「患者・設備・スタッフ」 が揃っており、 かつ初期費用を抑えられる事業承継は、 資金リスクの面で圧倒的に有利です。 特に、 開業後すぐにキャッシュフローを安定させたい医師にとって、 承継は魅力的な選択肢と言えるでしょう。
もちろん、 新規開業には 「理想の医療を自ら構築する」 という大きなやりがいがあります。 これは 「オトク」 「儲ける」 という経済的メリットだけでは測れない価値です。
開業は多くの医師にとって、 人生で一度きりの挑戦です。 その成功を左右するのは、 「理想」 と 「現実」 のバランスをどう取るかにかかっています。
事業承継も新規開業も一長一短があり、 医師としてのビジョン、 地域ニーズ、 家族の事情、 資金の準備状況など、 さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。
開業に関心のある先生は、 ぜひお気軽にご相談ください。


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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