【WJOG16722B】ゲノムリスク評価で早期再発の予測精度向上の可能性 : HR+HER2-乳癌
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HOKUTO編集部

9ヶ月前

【WJOG16722B】ゲノムリスク評価で早期再発の予測精度向上の可能性 : HR+HER2-乳癌

【WJOG16722B】ゲノムリスク評価で早期再発の予測精度向上の可能性 : HR+HER2-乳癌
Ⅱ/Ⅲ期のホルモン受容体陽性 (HR+) /HER2陰性 (-) 乳癌を対象に、 多遺伝子検査MammaPrint (MP) *およびBluePrint (BP) **によるゲノムリスク評価が術後3年以内の早期再発の予測に及ぼす影響を検討した国内多施設共同後ろ向き研究WJOG16722B (RealisE-TR)の結果、 早期再発群は無再発群と比べてMP高リスク、 Luminal B型の割合が有意に多く、 臨床病理学的因子とゲノム的因子を組み合わせることで、 早期再発の予測精度が向上する可能性が示唆された。 国立がん研究センター東病院乳腺外科の綿貫瑠璃奈氏が発表した。
*乳癌の術後5年および10年における遠隔転移リスクを予測
**乳癌を分子サブタイプに分類

背景

臨床病理学的因子による再発リスクの予測精度は不十分

早期再発したHR+/HER2-乳癌は予後不良であり、 術後2年以内の内分泌療法中の再発は「primary endocrine resistance」 (1次内分泌療法抵抗性) とされる。

WJOG16722B (RealisE-TR)に先行して実施された多施設共同後ろ向き研究WJOG15721B (RealisE) では、 Ⅱ/Ⅲ期のHR+/HER2-乳癌患者2,732例を対象に、 早期再発のリスク因子となる臨床病理学的特徴が探索され、 術後3年以内の早期再発に関与する臨床病理学的因子として、 若年、 核グレード、 静脈侵襲、 腫瘍径、 リンパ節転移の個数、 術前化学療法の実施が報告された¹⁾。

一方で、 臨床病理学的因子とゲノム的因子の組み合わせは、 再発リスクの予測に有用であり、 第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験MINDACTでは臨床的高リスク例であっても、 MP低リスクと評価された症例では化学療法が回避可能であることが示された²⁾。

そこでWJOG16722B試験では、 WJOG15721B試験のコホートにおける無再発群および早期再発群のMPによる再発リスクや、 BPによる分子サブタイプの違いについて比較検証された。

試験の概要

対象はⅡ/Ⅲ期のHR+/HER2-乳癌患者85例

WJOG16722B試験の対象は、 WJOG15721B試験に登録されたⅡ/Ⅲ期のHR+/HER2-乳癌患者2,732例のうち、 施設、 臨床病期、 病理学的リンパ節転移個数でマッチングを行ったうえで、 無再発例および術後3年以内の早期再発例を124例無作為に選択した。 その中で腫瘍検体をMP/BP検査に提出し、 結果が得られた85例 (無再発群42例、 早期再発群43例) を解析対象とした。

主要評価項目はMPによる高リスクの割合だった。 副次評価項目はBPによるBasal型の割合、 その他の分子サブタイプの割合、 MP/BPと臨床病理学的因子との関連などであった。

試験の結果

患者背景は早期再発群で高グレード傾向

年齢中央値は無再発群が53.5歳、 早期再発群が47歳、 閉経前の患者割合はそれぞれ52.4%、 60.5%であった。 また、 臨床病期ⅡAはそれぞれ76.2%、 72.1%、 核グレード3は19.0%、 35.6%、 腫瘍径が2cm以上5cm未満は66.7%、 67.4%、 リンパ節転移の個数0が38.1%、 34.9%、 1-3が45.2%、 44.2%であった。

MP高リスクは早期再発群で有意に高率

MPによる高リスクの割合は、 無再発群の40.5% (95%CI 25.6-56.7%) と比べて早期再発群が79.1% (同 64.0-90.0%) と有意に多かった (p<0.01)。

Ki-67と核グレードがMP高リスク関連

MP高リスクと関連する因子としては、 以下2点が示された。

Ki-67高値

  • ≥30% vs <14%のOR 26.4 (95%CI 3.0-230.2)、 p<0.01

核グレードが高い

  • Grade 2 vs Grade 1のOR 5.3 (95%CI 1.8-15.9)、 p<0.01
  • Grade 3 vs Grade 1のOR 12.3 (95%CI 2.8-52.9)、 p<0.01

一方で、 他の臨床病理学的因子との関連は認められなかった。

Luminal B型は早期再発群で79.1%

BPによる分子サブタイプについて、 Luminal B型は無再発群の38.1% (95%CI 23.6-54.4%) と比べて早期再発群で79.1% (同 64.0-90.0%) と有意に多かった (p<0.01)。 HER2陽性型は両群とも認められず、 Basal型は無再発群で1例のみ認められた。

臨床的リスク低でもMP高リスクでは57.5%が早期再発

WJOG15721B試験で作成したノモグラム¹⁾を用いて年齢、 核グレード、 静脈侵襲、 腫瘍径、 リンパ節転移の個数、 術前化学療法の実施から臨床的リスク (C-high[高リスク]/C-low[低リスク]) を評価し、 MPの結果からゲノムリスク (G-high[MP高リスク]/G-low[MP低リスク]) を分類した結果、 以下のとおり、 C-lowと評価したなかでもG-highでは早期再発例が多かった。

  • C-high・G-high (5例) : 全例が早期再発
  • C-high・G-low (1例) : 無再発
  • C-low・G-high (40例) :23例(57.5%)早期再発
  • C-low・G-low (32例) : 9例 (28.1%) 早期再発

結論

臨床的リスク×ゲノムリスクの組み合わせ早期再発の予測に有用

綿貫氏は 「本研究では、 臨床病理学的因子とゲノム的因子を組み合わせることで、 予後不良である早期再発の予測精度が向上する可能性が示唆された。 今後は分子標的薬を含めた各治療薬に対する効果予測因子の確立が重要となる。 また、 臨床リスク低・ゲノムリスク低のなかに存在する早期再発例をどのように拾い上げるかも課題である」 と報告した。

出典

  1. Breast Cancer. 2025 Jul;32(4):757-772.
  2. N Engl J Med. 2016 Aug 25;375(8):717-29.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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