海外ジャーナルクラブ
14日前

SasieniらはHPV (ヒトパピローマウイルス) ワクチンを導入した英国の20~34歳女性を対象に、 子宮頸癌死亡率の推移を集団ベースの死亡データを用いた観察研究で検討した。 その結果、 12~13歳でワクチン接種を受けた2020~24年の20~24歳女性で死亡が観測されず (期待死亡23.1に対し)、 死亡率100%減 (95%CI 84-100) と関連していた。 研究結果はLancetに発表された。
本研究は集団レベルの死亡データに基づく観察研究であり、 herd immunityを考慮しないPoisson回帰での推定のため、 スクリーニング動向など残余交絡や因果の確定には限界があります。 日本では積極的勧奨が長く差し控えられた経緯があり、 国内への外挿には接種率の差を踏まえた解釈が必要です。
HPVワクチンは世界の子宮頸癌排除戦略の中核を成し、 いくつかの国で子宮頸癌罹患率の実質的な低下が報告されているが、 死亡への効果を示す証拠は乏しかった。
英国では、 2008年に12-13歳の女子を対象とする全国HPVワクチン接種プログラムを導入し (COVID-19パンデミック前に80~90%の接種率を達成)、 2008~10年には14~18歳の女子へのキャッチアップ接種も実施した。
本研究は、 ワクチン導入後の英国における子宮頸癌死亡率の推移と若年女性の死亡減少を推定することを目的とした。
英国の2001~24年の集団ベース子宮頸癌死亡データを、 20~24歳・25~29歳・30~34歳の年齢群で解析した観察研究である。
出生コホート別のHPVワクチン接種率を公的報告から取得し、 各年齢群・暦年の死亡について接種済み女性の割合を推定した。 観測および補正後の年齢別死亡率を死亡年に対してプロットし、 平滑化曲線を重ねた。 死亡数にPoisson回帰を適用し、 herd immunityがないと仮定した上で、 ワクチン非接種時に期待される死亡と比較した接種女性の相対リスク減少を推定した。
接種率は12~13歳接種の出生コホートで約88~
90%、 18歳までの接種機会があった早期コホートで約63~87%であった。
2020~24年の20~24歳女性 (12~13歳時の接種率約88~90%) では死亡が1例も観測されず、 過去の死亡率に基づく期待死亡23.1例と比較して死亡率100%減 (95%CI 84-100%減) と関連していた。
18歳までの接種機会があり接種率約63~87%であった早期出生コホートでは、 2015~19年の20~24歳女性で80%減 (95%CI 51-94%減)、 2020~4年の25-29歳女性で69%減 (95%CI 55-79%減) が観測された。
集団レベルのデータから推定された接種女性の相対リスク減少は、 20~24歳で100% (95%CI 81-100%)、 25~29歳で100% (95%CI 89-100%)、 30~34歳で63% (95%CI -13-100%) であった。
2024年末までに英国のHPVワクチン接種は約199.6例の子宮頸癌死亡の減少 (95%CI 125.0-274.2) と関連していた。
著者らは「観察研究という限界はあるものの、 高いHPVワクチン接種率が子宮頸癌死亡の実質的な減少と関連することを示す初の頑健な全国規模のエビデンスである。 これはWHOが掲げる公衆衛生上の課題としての子宮頸癌排除という目標の達成可能性を支持しており、 世界的に若年青少年での高い接種率の達成に努めるべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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