海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Aymon氏らは、 関節リウマチ (RA) 治療に対するJAK阻害薬、 TNFα阻害薬、 およびTNFα阻害薬以外の生物学的製剤 (OMA) の有害事象 (AE) による治療中止率について、 国際共同レジストリ研究JAK-potに基づきそれぞれ解析を行った。 その結果、 JAK阻害薬全体では治療中止率の増加との関連は認められなかったが、 トファシチニブなど特定の薬剤では異なる傾向が示された。 本研究はAnn Rheum Dis誌において発表された。
治療中止に至る副反応の詳細が不明な点が本研究の最大のlimitationです。 メガデータ解析にも欠点があります。
海外市販後安全性臨床試験ORAL Surveillanceにおいて、 JAK阻害薬を服用しているRA患者はTNFα阻害薬を服用している患者に比べ、 有害事象の発生リスクが高いことが示されている。 本研究では、 JAK阻害薬全体ではなく、 特定のJAK阻害薬におけるAEによる治療中止との関連が検証された。
17ヵ国のRAレジストリに登録され、 2次治療としてJAK阻害薬、 TNFα阻害薬、 OMAを投与されたRA患者 : 4万6,913例
対象とした治療コースのうち、 各治療薬の内訳は以下の通り
AEによる治療中止率
主要評価項目に関するTNFα阻害薬全体と各JAK阻害薬の比較
JAK阻害薬 vs TNFα阻害薬
同程度であった。
調整後HR 1.00(95%CI 0.92-1.10)
JAK阻害薬 vs OMA
OMAで高値であった。 Fine-Grayモデルを用いた感度解析では有意差が認められなかったものの、 全体的な傾向は同様だった。
調整後HR 1.11 (95%CI 1.01-1.23)
TNFα阻害薬全体と各JAK阻害薬を比較した結果、 特定のJAK阻害薬投与における治療中止率はTNFα阻害薬に比べてトファシチニブで高く、 バリシチニブで低いことが示された。
トファシチニブ vs TNFα阻害薬
調整後HR 0.81 (95%CI 0.71-0.90)
バリシチニブ vs TNFα阻害薬
調整後HR 1.15 (95%CI 1.01-1.30)
JAK阻害薬全体では、 AEによる治療中止率の増加との関連は認められなかったが、 特定のJAK阻害薬では異なる傾向が示唆された。 しかし、 本研究デザインはRA治療薬の全般的な忍容性を評価したものであり、 AEの重症度は評価していないため、 安全性については慎重に解釈されるべきである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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