【Ann Rheum Dis】関節リウマチの治療中止率、特定のJAK阻害薬で高い?
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海外ジャーナルクラブ

10ヶ月前

【Ann Rheum Dis】関節リウマチの治療中止率、特定のJAK阻害薬で高い?

【Ann Rheum Dis】関節リウマチの治療中止率、特定のJAK阻害薬で高い?
Aymon氏らは、 関節リウマチ (RA) 治療に対するJAK阻害薬、 TNFα阻害薬、 およびTNFα阻害薬以外の生物学的製剤 (OMA) の有害事象 (AE) による治療中止率について、 国際共同レジストリ研究JAK-potに基づきそれぞれ解析を行った。 その結果、 JAK阻害薬全体では治療中止率の増加との関連は認められなかったが、 トファシチニブなど特定の薬剤では異なる傾向が示された。 本研究はAnn Rheum Dis誌において発表された。

📘原著論文

Evaluation of discontinuation for adverse events of JAK inhibitors and bDMARDs in an international collaboration of rheumatoid arthritis registers (the 'JAK-pot' study). Ann Rheum Dis. 2023 Dec 8:ard-2023-224670. PMID: 38071508

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

治療中止に至る副反応の詳細が不明な点が本研究の最大のlimitationです。 メガデータ解析にも欠点があります。

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研究の背景

海外市販後安全性臨床試験ORAL Surveillanceにおいて、 JAK阻害薬を服用しているRA患者はTNFα阻害薬を服用している患者に比べ、 有害事象の発生リスクが高いことが示されている。 本研究では、 JAK阻害薬全体ではなく、 特定のJAK阻害薬におけるAEによる治療中止との関連が検証された。

研究デザイン

対象

17ヵ国のRAレジストリに登録され、 2次治療としてJAK阻害薬、 TNFα阻害薬、 OMAを投与されたRA患者 : 4万6,913例

介入

対象とした治療コースのうち、 各治療薬の内訳は以下の通り

  • JAK阻害薬 : 1万2,523件
  • TNFα阻害薬 : 2万3,391件
  • OMA : 1万999件
※各クラス内の薬剤
JAK阻害薬 : バリシチニブ、 フィルゴチニブ、 トファシチニブ、 ウパダシチニブ
TNFα阻害薬 : アダリムマブ、 セルトリズマブ、 エタネルセプト、 ゴリムマブ、 インフリキシマブ
OMA : アバタセプト、 サリルマブ、 トシリズマブ

主要評価項目

AEによる治療中止率

原因別Cox比例ハザードモデルにより薬剤クラスごとに比較

副次評価項目

主要評価項目に関するTNFα阻害薬全体と各JAK阻害薬の比較

研究結果

AEによる治療中止率

JAK阻害薬 vs TNFα阻害薬

同程度であった。

調整後HR 1.00(95%CI 0.92-1.10)

JAK阻害薬 vs OMA

OMAで高値であった。 Fine-Grayモデルを用いた感度解析では有意差が認められなかったものの、 全体的な傾向は同様だった。

調整後HR 1.11 (95%CI 1.01-1.23) 

TNFα阻害薬全体と各JAK阻害薬の比較

TNFα阻害薬全体と各JAK阻害薬を比較した結果、 特定のJAK阻害薬投与における治療中止率はTNFα阻害薬に比べてトファシチニブで高く、 バリシチニブで低いことが示された。

トファシチニブ vs TNFα阻害薬

調整後HR 0.81 (95%CI 0.71-0.90) 

バリシチニブ vs TNFα阻害薬

調整後HR 1.15 (95%CI 1.01-1.30) 

結論

JAK阻害薬全体では、 AEによる治療中止率の増加との関連は認められなかったが、 特定のJAK阻害薬では異なる傾向が示唆された。 しかし、 本研究デザインはRA治療薬の全般的な忍容性を評価したものであり、 AEの重症度は評価していないため、 安全性については慎重に解釈されるべきである。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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