HOKUTO編集部
2ヶ月前
血清GDF-15≧1,500pg/mLの癌悪液質におけるファーストインクラスの抗GDF-15抗体ponsegromabの有効性および安全性について、 プラセボを対照に検証した第Ⅱ相二重盲検無作為化比較試験の結果から、 癌患者の体重が有意に増加し、 悪液質症状、 筋肉量、 身体活動等も改善した。 米・Duke University Medical CenterのJeffrey Crawford氏が発表した。
悪液質は癌患者において一般的にみられる合併症だが、 現在欧米での承認治療薬はない。
GDF-15 (Growth Differentiation Factor-15) は癌悪液質の重要な要因となるサイトカインの一種である。 第Ⅰb相試験においては、 ponsegromabの投与により、 癌患者の血清GDF-15値が検出不可能な値まで低下することが確認された。 第Ⅱ相試験では、 プラセボと比較したponsegromabの有効性および安全性を評価した。
血清GDF-15が1,500pg/mL以上で、 6ヵ月以内に5%超 (BMI<20kg/m²では2%超) の体重減少がある、 ECOG PS≦3および推定余命4ヵ月以上の癌悪液質患者187例を対象とした。
患者を1:1:1:1の割合で以下の4群に無作為に割り付け、 いずれの群でも4週ごとに3回投与した。
- ponsegromab 400mg群
- ponsegromab 200mg群
- ponsegromab 100mg群
- プラセボ投与群
本試験はパートA/Bの2パートで構成され、 パートAの主要評価項目は、 ベイジアンEmaxモデルを用いた事後解析による12週時点での体重のベースラインからの変化だった。
その他、 FAACT-ACSおよびFAACT-5IASSに基づく患者報告アウトカム、 身体活動、 安全性、 腰椎骨格筋指数 (LSMI) を評価したであった。
今回はパートAの結果が報告された。
患者の人口統計学的特徴および臨床的特徴は各群で概ねバランスが取れていた。
癌種ごとの割合は、 非小細胞肺癌が39.6%、 膵癌が31.6%、 大腸癌が28.9%だった。
無作為化された187例全例が治療を受け、 うち137例 (73.3%) が12週間の受診を完了した。
すべてのponsegromab投与群において投与4週目から体重増加が確認され、 12週時点でのベースラインからの体重は、 プラセボに比べて有意に増加していた。
- 400mg群 : +3.00kg (95%CI 1.43-4.60kg)
- 200mg群 : +2.08kg (95%CI 0.87-3.39kg)
- 100mg群 : +1.33kg (95%CI 0.36-2.56kg)
400mg投与群ではプラセボ群に比べ、 12週時の体重増加率が5%㌽を超えていた。
- 400mg群 : +5.46%㌽ (同 3.05-7.87%㌽)
- 200mg群 : +2.99%㌽ (同 0.64-5.35%㌽)
- 100mg群 : +2.21%㌽ (同 -0.20~4.46%㌽)
さらに、 サブグループ解析の結果、 事前規定された主要なサブグループにおいて、 400mg群で一貫した体重増加効果が認められた。
また、 400mg群では、 食欲および悪液質症状のベースラインからの変化、 身体活動、 LSMIを含む複数領域においても改善を示した。
全原因性の治療中に発現した有害事象は400mg群で74.0%、 プラセボ群で80.0%に認められ、 下痢、 癌進行、 貧血、 低カリウム血症、 悪心、 嘔吐、 発熱が多くみられた。
治療関連有害事象は400mg群で8.0%、 プラセボ群で8.9%に発現したが、 大部分は軽度~中等度だった。
Crawford氏は 「ponsegromabはプラセボと比較して、 GDF-15が高値の癌悪液質における体重および悪液質症状等を改善した。 安全性プロファイルはプラセボと同様であり、 有害事象の内訳は殺細胞性抗癌薬併用療法でみられる所見と一致していた。 本試験の結果は、 GDF-15が癌悪液質の主要なドライバーであり、 癌悪液質の治療における重要な標的であることを支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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