【Blood】微小残存病変で多発性骨髄腫維持療法の予後予測が可能か検討
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【Blood】微小残存病変で多発性骨髄腫維持療法の予後予測が可能か検討

【Blood】微小残存病変で多発性骨髄腫維持療法の予後予測が可能か検討
Paivaらは, 多発性骨髄腫 (MM) 患者を対象に維持療法中の微小残存病変 (MRD) の予後予測能を無作為化プラセボ対照第Ⅲ相試験で検討 (TOURMALINE-MM3 および MM4試験) . その結果, MRDの経時的な変化が PFS リスクに大きく影響するため, 1ポイントのMRD 評価での予後予測には限界があることが確認された. 本研究は, Blood誌において発表された. 

📘原著論文

MRD dynamics during maintenance for improved prognostication of 1280 myeloma patients in TOURMALINE-MM3 and -MM4 trials. Blood. 2022 Sep 21;blood.2022016782.PMID: 36130300

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究結果から, ある指標の経時的な変化が 転帰に大きく影響するため, 1ポイント 評価での予後評価に限界がある. そのためある指標が陰性から陽性に変化した患者においては進行リスクが増加するため注意が必要である, とということができます. これは実臨床における普遍的な原理の1つと言えると思います.

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背景

MMにおいて, 微小残存病変 (MRD) の評価は治療期間の目安になると考えられる. しかし, 維持療法中のMRDに関する縦断的データは限られている.

研究デザイン

  • 2 年間のイキサゾミブ維持療法を受けた移植適格患者と非適格患者1280名を対象にMRDの予後予測能を検討.

研究結果

  • 無作為化時点のMRDに予後予測との関連が示された.
  • 無増悪生存期間 (PFS) 中央値
  • MRD陰性:38.6カ月
  • MRD陽性:15.6カ月
HR 0.47
  • 14ヵ月時点のランドマーク解析では, MRD陽性からMRD陰性に移行した患者のPFSが, MRD陽性が持続している患者と比較して延長したことが示された.
2年PFS率:76.8% vs. 27.6%
  • MRD陽性からMRD陰性に変化した患者に比べ, MRD陰性が持続した患者のほうが, PFSの延長が認められた.
2年PFS率:75.0% vs. 34.2%
  • 28 ヵ月時点のランドマーク解析でも同様の結果が観察された.
  • イキサゾミブ維持療法とプラセボの比較では, MRD陽性患者は無作為化時点 (中央値 18.8カ月 vs. 11.6カ月, HR 0.65) または 14カ月時点のランドマーク解析で PFS が改善した (中央値 16.8カ月 vs. 10.6カ月, HR 0.65) が, MRD陰性だった患者では差は認められなかった.

結論

MRDの経時的な変化が PFS リスクに大きく影響するため, 1ポイントでのMRD 評価は予後評価に限界がある. このことから, 維持療法中の適切なエンドポイントはMRD陰性であり, MRD陰性からMRD陽性に変化した患者においては進行リスクが増加する.

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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