肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点
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HOKUTO編集部

1ヶ月前

肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点

肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点
2024年10月に発刊された『肺癌診療ガイドライン -悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む- 2024年版 第8版』 (編 : 日本肺癌学会) が、 10月31日開催の第65回日本肺癌学会学術集会にあわせWeb公開された。 同ガイドラインは2014年以降毎年改訂されており、 2024年版は隔年で発刊されている書籍の発行となっていた。
こちらの記事は2024年10月31日に配信したものを再配信しています。

8つの主な改訂

HOKUTO編集部が確認した、2023年版 (Web版) からの主な改訂点は以下のとおりである。

(1) 推奨文・推奨度の記載が変更

全体の変更点として、 推奨文および推奨度、 合意率の記載に関して、 以下のとおり変更された。

肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点

(2) 周術期ステージがTNM第9版の記載に

近日発行される肺癌取り扱い規約第9版にあわせた記載に変更となった。 なお、 詳細についてはHOKUTOで人気連載 肺癌TNM分類 第9版で注目の変更点は? を確認いただくと良い。

解説 :吉田達哉先生 (国立がんセンター中央呼吸器内科医長)
肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点
肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点
公表されたUICC TNM分類 第9版をもとに編集部作図

(3) 周術期NSCLCで新治療レジメン追加

新たな治療レジメンが追加された。 主な改訂点は、術前術後ペムブロリズマブ (KEYNOTE-671)、 術後アレクチニブ (ALINA) の追記、 各種臨床試験結果のアップデートなどである。

HOKUTO掲載レジメンと主なガイドライン更新事項

- 術前・術後ペムブロリズマブ (KEYNOTE-671)

 KEYNOTE-671試験の結果を基に推奨を追加 [弱く推奨 2B]

- 術前ニボルマブ (CheckMate816)

 CheckMate816試験のOSがアップデート

- 術後アレクチニブ (ALINA)

 ALINA試験の結果を基に推奨を追加 [弱く推奨 2B]

- 術後オシメルチニブ (ADAURA)

 ADAURA試験のDFSがアップデート
肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点

(4) 進行期NSCLC : EGFR exon挿入変異に対するアミバンタマブ併用や新規のMET阻害薬、ROS-1阻害薬など追加

進行期領域では、 EGFR遺伝子exon20挿入変異に対する1次治療としての新たな標的療法としてEGFR-MET二重特異性抗体アミバンタマブ併用療法が追加され、 EGFR遺伝子exon18-21挿入変異に対しては、 第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のアファチニブ単剤療法、 オシメルチニブ単剤療法がそれぞれ追加された。

また2025年10月に本邦で発売中止となったEGFR阻害薬ダコミチニブ*については、EGFR遺伝子exon19欠失/L858R変異に対する1次治療(PS 0-1症例)の推奨が削除された。

*2026年末までに全世界で供給停止が予定されている

その他、新規MET阻害薬のグマロンチニブやROS-1阻害薬レポトレクチニブの推奨が追加された。

HOKUTO掲載レジメンと主なガイドライン更新事項

- アミバンタマブ+化学療法 (PAPILLON)

 PAPILLON試験の結果を基に推奨を追加 [強く推奨 1B]

- グマロンチニブ (GLORY)

 GLORY試験の結果を基に推奨を追加 [強く推奨 1C、]

- レポトレクチニブ (TRIDENT-1)

 TRIDENT-1試験の結果を基に推奨を追加 [強く推奨 1C]

- オシメルチニブ+化学療法 (FLAURA2)

 FLAURA2試験の結果を基に推奨を追加 [弱く推奨 2B]

- オシメルチニブ (KCSG-LU15-09)

 KCSG-LU15-09試験の結果を基に推奨を追加 [弱く推奨 2C]

- アファチニブ (ACHILLES/TORG1834)

 ACHILLES/TORG1834結果を基に推奨を追加 [強く推奨 1B]
肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点

(5) 進展型SCLCで全身状態別に治療法の推奨を明確化

小細胞癌 (SCLC) の進展型領域では、 全身状態 (PS 0-1/2/3/4) 別に推奨治療法が明確化され、 推奨薬剤も追加された。

肺癌診療ガイドライン2024年版、 8つの主な改訂点

(6) 再発SCLCでタルラタマブ療法追加

再発SCLC領域では、 全身状態良好例の3次治療以降における二重特異性T細胞誘導 (BiTE) 抗体タルラタマブ療法 (国内未承認、 2024年5月に承認申請) 等が追加された。

HOKUTO掲載レジメンと主なガイドライン更新事項

- タルラタマブ (DeLLphi-301)

 NEJM掲載のDeLLphi-301試験の結果を基に推奨を追加

(7)悪性胸膜中皮腫で外科治療の記載整理

悪性胸膜中皮腫の外科治療領域では、 局所治療可能な再発例に対するクリニカル・クエスチョン (CQ) が新設され、 外科治療に関する記載が全体的に整理された。

(8) 胸腺腫瘍でペムブロリズマブの新たなエビデンス追加

胸腺腫瘍の領域では、 進行・再発例における抗PD-1抗体ペムブロリズマブの適応拡大および新たなエビデンスとなる臨床試験等について追記された。

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第65回日本肺癌学会レポート

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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