【CS21試験】前立腺癌に対するデガレリクス、 リュープロレリン
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1年前

【CS21試験】前立腺癌に対するデガレリクス、 リュープロレリン

【CS21試験】前立腺癌に対するデガレリクス、 リュープロレリン
内分泌療法が適応とされた前立腺癌患者において、 GnRHアンタゴニストであるデガレリクスの効果を、 リュープロレリンを対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験CS21の結果より、 1年間のテストステロン値の低値維持における非劣性が示された。

原著論文

▼解析結果

The efficacy and safety of degarelix: a 12-month, comparative, randomized, open-label, parallel-group phase III study in patients with prostate cancer. BJU Int. 2008 Dec;102(11):1531-8. PMID: 19035858

関連レジメン①

初回投与量:240mg

成人には初回は240mgを1カ所あたり120mgずつ腹部2カ所に皮下投与する。 2回目以降は、 初回投与4週間後より、 維持用量を投与する。

維持投与量:80mgまたは480mg

4週間間隔で投与を繰り返す場合は、 80mgを維持用量とし、 腹部1カ所に皮下投与する。 12週間間隔で投与を繰り返す場合は、 480mgを維持用量とし、 1カ所あたり240mgずつ腹部2カ所に皮下投与する。

<4週間間隔の場合>

【CS21試験】前立腺癌に対するデガレリクス、 リュープロレリン

<12週間間隔の場合>

【CS21試験】前立腺癌に対するデガレリクス、 リュープロレリン

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関連レジメン②

【CS21試験】前立腺癌に対するデガレリクス、 リュープロレリン

前立腺癌の場合、 4週に1回リュープロレリン酢酸塩として3.75mgを皮下に投与する。

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CS21試験の概要

対象

内分泌療法が適応とされた前立腺癌患者

方法

610例を以下の3群に1:1:1で割り付けた。

  • デガレリクス (240/80mg) 群 (207例)
アビラテロン1,000㎎+プレドニゾン5㎎を1日1回経口投与+ADT
  • デガレリクス (240/160mg) 群 (202例)
デガレリクスを最初の1ヶ月は240㎎投与、 その後は28日毎に12ヵ月目まで160㎎投与
  • リュープロレリン群 (201例)
リュープロレリン7.5㎎を28日毎に12ヵ月目まで投与

評価項目

主要評価項目

  • テストステロン奏効率 (28~364日目までのテストステロン値が≦0.5ng/mLであった患者の割合)

副次評価項目

  • 治療開始後2週間にテストステロンが急増した患者の割合
  • 3日目のテストステロン中央値
  • 28-364日間のテストステロン中央値
  • 252日目のテストステロン値 vs 255日目、 259日目のテストステロン値 (9回目の投与前、 投与3日後と7日後)
  • 血清中LH、 FSHの経時的変化
  • ベースラインから14日後、 28日後までのPSA変化率
  • PSA評価による治療失敗までの期間 (少なくとも2週間の間隔で2回連続して、 PSAが直前値から≧50%増加し、 かつ≧5ng/mLであること)
  • 有害事象 (AE)
  • 心電図の変化

CS21試験の結果

患者背景

3群間で同様であった。

テストステロン奏効率

  • デガレリクス (240/80mg) 群:97.2%
(95%CI 93.5-98.8%)
  • デガレリクス (240/160mg) 群:98.3%
(95%CI 94.8-99.4%)
  • リュープロレリン群:96.4%
(95%CI 92.5-98.2%)

3日目のテストステロン中央値

  • デガレリクス (240/80mg) 群:0.24ng/mL
  • デガレリクス (240/160mg) 群:0.26ng/mL
  • リュープロレリン群:6.30ng/mL

28-364日目までのテストステロン中央値

  • デガレリクス (240/80mg) 群:0.082ng/mL
  • デガレリクス (240/160mg) 群:0.088ng/mL
  • リュープロレリン群:0.078ng/mL

252日目のテストステロン値 vs 255日目および/または259日目のテストステロン値

252日目と比較し、 240/80mg群と240/160mg群では平均テストステロン値はわずかに減少したが、 リュープロレリン群では平均0.045ng/mLの有意な増加がみられた (p<0.001) 。

ベースラインから14日後、 28日後までのPSA変化率

14日後

  • デガレリクス (240/80mg) 群:64%
  • デガレリクス (240/160mg) 群:65%
  • リュープロレリン群:18%

28日後

  • デガレリクス (240/80mg) 群:85%
  • デガレリクス (240/160mg) 群:83%
  • リュープロレリン群:68%

PSA評価による治療失敗までの期間

  • デガレリクス (240/80mg) 群:8.9%
  • デガレリクス (240/160mg) 群:14.2%
  • リュープロレリン群:14.1%

LHとFSHの経時的変化

  • デガレリクス投与の2群では、 LHとFSHの中央値は投与後に急速に低下し、 試験終了まで抑制されていた。 
  • リュープロレリン群では、 投与開始時にLHとFSHの中央値が上昇し、 FSHはデガレリクスの2群と同程度には低下しなかった。

試験終了時のベースラインと比較した平均FSH値の低下率

  • デガレリクス (240/80mg) 群:88.5%
  • デガレリクス (240/160mg) 群:89.0%
  • リュープロレリン群:54.8%

AE

Grade3、 4、 5の治療関連AEの発現率はそれぞれ以下の通り

  • デガレリクス (240/80mg) 群:15%、 <1%、 2%
  • デガレリクス (240/160mg) 群:18%、 <1%、 2%
  • リュープロレリン群:13%、 2%、 4%

死亡例に関しては、 いずれも試験薬との関連は認められなかった。

心電図の変化

心拍数で補正したQT間隔 (≧500ms) の値に異常が認められたのは、 デガレリクス群<1%、 リュープロレリン群2%であり、 理学検査所見に群間で著明な差は認められなかった。

著者らの結論

  • 内分泌療法が適応とされた前立腺癌患者において、 デガレリクスはリュープロレリンと比較し、 1年間にわたり低テストステロン値を維持することにおける非劣性が示された。
  • 240/80mgおよび240/160mgのデガレリクス投与レジメンは、 リュープロレリンよりも即効性があり、 テストステロンとPSA値を迅速に減少させることが示された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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