海外ジャーナルクラブ
16日前
Röthらは、 発作性夜間ヘモグロビン尿症 (PNH) を対象に、 抗C5抗体クロバリマブの安全性について、 標準治療である抗C5抗体エクリズマブを対照に、 第Ⅲ相COMMODORE1~3試験*の結果を解析した。 3件の臨床試験の分析結果において、 クロバリマブはエクリズマブと同様の安全性が示された。 本研究はEur J Haematolに発表された。
Abstractの結論には、 "generally comparable"という表現で 「概ね一致している」 と記載されています。 抽象的ですが、 アカデミアで使用され得る表現です。
エクリズマブはPNHの標準治療であり有効性および安全性を備えている一方で、 2週間ごとの静脈内投与が必要とされ、 患者の日常生活への負担が課題となっている。
クロバリマブは第Ⅲ相COMMODORE 1~3試験により、 有効性においてエクリズマブに対する非劣性が確認されているものの、 3つの試験間で治療期間や曝露量に差がみられた。 そのため、 曝露量を調整した集団間における有害事象 (AE) 発現率を比較するため、 本研究で追加解析を実施した。
COMMODORE 1~3試験に登録された、 抗C5抗体未投与および抗C5抗体治療経験を有するPNH患者を対象に、 クロバリマブ治療 (393例) およびエクリズマブ治療 (111例) の100人年 (PY) あたりの有害事象の発生数を比較評価した。 安全性は、 以下の3群に分けて評価した。
解析にはCOMMODORE 1/2試験の主要解析から、 6.5ヵ月の追加フォローアップ期間が含まれた。
総PYはクロバリマブ群で503.9例、 エクリズマブ群で51.1例だった。
100PYあたりのAE発現率は、 クロバリマブ群が471例、 エクリズマブ群が581例と、 クロバリマブ群で低かった。
100PYあたりの重篤な感染症の発現率はそれぞれ8.9例、 13.7例だったが、 髄膜炎菌感染症は発生しなかった。 致命的なAEはそれぞれ8例 (抗C5抗体未投与群6例、 抗C5抗体投与へ切り替え群2例)、 1例にみられたが、 いずれも各治療とは無関係に発生した。
抗C5抗体への投与切り替え群では、 39/201例 (19%) に一過性の免疫複合体反応が認められた。 ただし、そのほとんどはGrade1/2の関節痛および発疹だった。 また、 Grade3のAEは16例に発現した。
著者らは 「クロバリマブの安全性プロファイルはエクリズマブと概ね一致しており、 抗C5抗体未投与患者と抗C5抗体への切り替え患者間にも大きな差異は示されなかった」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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