海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前
Yooらは、 消化管の開腹手術を受けた患者を対象に、 手術部位感染 (SSI) の発生率を減少させるためのプラスチック製創傷保護材の有効性を多施設共同患者盲検並行群無作為化臨床試験で検討した。 その結果、 プラスチック製創傷保護材は手術用ガーゼと比較し、 SSIのリスクを有意に減少させることが明らかになった。 本研究は、 JAMA Surgにおいて発表された。
世界保健機関 (WHO) の推奨結果をサポートする研究成果でありJAMAが最も得意とするところと言えます。 全症例が開腹手術で、 35%に緊急手術が含まれており意義のある対象群となっています。
SSIは、 患者に重大な影響を及ぼす院内感染症である。 WHOは、 限定的なエビデンスにもかかわらず、 SSIリスクを低下させる予防策として、 創傷保護材の使用を推奨している。
腸穿孔などに伴う開腹腸手術を受けた患者 : 458例
患者を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
術後30日以内のSSI発生率
intention-to-treat (ITT) 解析における全体のSSI率は15.7% (458例中72例) であった。
創傷保護材はSSIリスクを有意に減少させた。
RRR : 46.81%
(95%CI 16.64-66.06%)
創傷保護材は準清潔創のSSI率を有意に低下させた。
RRR : 43.75%
(95%CI 3.75-67.13%)
表層的SSIのRRR : 42.50%
(同7.16-64.39%、 p=0.02)
両群で同程度であった。
平均 (SD) : 15.2 (10.5) 日 vs 15.3 (10.2) 日
両群において全体的に同程度 (20.1% vs 18.8%) であった。
著者らは、 「消化管の開腹手術時にプラスチック製創傷保護材を使用した場合、 手術用ガーゼと比較してSSI発生率が有意に低下することが明らかにされた。 これにより、 腹部手術における創傷保護材の使用を推奨するWHOの勧告が支持された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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