亀田総合病院
5ヶ月前
亀田総合病院 消化器内科
▼大腸ポリープ診療ガイドライン2020 第2版
これまでは、 5mm以下の腺腫 (隆起型) は癌の確率が低いため、 切除しなくてもよいという見解だったが、 新しいガイドラインから5mm以下の腺腫も切除しても良い (経過観察でもよい) という 「クリーンコロン」 に近い内容に変更された²⁾。
▼腫瘍径10mm程度
Cold snare polipectomy (CSP)
局注や通電が不要で手間が少なく、 切除後の出血や穿孔リスクが非常に低い
▼腫瘍径2㎝以下
ポリペクトミー/内視鏡的粘膜切除術 (EMR)
茎がある場合はスネアをしめて通電切除する。 平坦な場合は粘膜仮装に生理食塩水を注入してからスネアをかけて通電切除する
▼腫瘍径2㎝以上
内視鏡的粘膜下剥離術 (ESD)
粘膜下層に液体を注入し、 電気メスで切除する (分割にならないように一括切除)
▼大腸ポリープ診療ガイドライン2020 第2版
切除して腺腫だった場合、 3年以内に内視鏡検査を実施することが望ましい (個数、 大きさについての指定はなし)²⁾。
▼大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン
腺腫の個数や大きさ、 組織の異型度により、 次回内視鏡検査の時期が定められた³⁾*。
腺腫や癌がある場合、 治療後に定期的な内視鏡検査が必要となるが、 便潜血陰性の場合はFITを継続して受ける形となる。
▼FITの診断精度
FIT study*から以下のように示されていてる。
FITでは早期癌の38%、 進行癌の9%が見逃されていた。
▼FITは回数を重ねること精度が向上
FITは単回の感度 (スクリーニング感度) は低いものの、 回数を重ねることでプログラム感度感度が高くなることが知られている。 したがって、 毎年の検診で便潜血をチェックすることは重要となる。
▼大腸内視鏡の診断精度
大腸内視鏡は精度の高い検査ではあるが、 それでも一定の見逃しはあり、 径10mm以上で6%、 径6~9mmで17%、 径5 mm以下で28%が見逃されていると報告されている。
大腸内視鏡検査の質の指標として特に重要なものは腫瘍発見率 (adenoma detection rate ; ADR)*であり、 ADRの高い医師と低い医師では予後が大きく異なることが分かっている⁵⁾。
欧米では男性において30%以上、 女性において20%以上のADRを保つことが推奨されており、 この基準を下回る医師は修練するようにガイドラインに記載されている。
▼ADRが高くなる変動条件
血便や便潜血陽性ではADRが高くなる
高齢、 男性ではADRが高くなる
▼ADRが低くなる変動条件
全大腸を観察できないとADRは低くなる
観察に時間をかけないとADRは低くなる
便が残っているとADRは低くなる
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。