【臨床Q&A】PD-L1≥50%の肺腺癌、 どの治療を選択しますか?
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HOKUTO編集部

1年前

【臨床Q&A】PD-L1≥50%の肺腺癌、 どの治療を選択しますか?

【臨床Q&A】PD-L1≥50%の肺腺癌、 どの治療を選択しますか?

解説:赤松弘朗先生¹⁾ / 監修:津谷康大先生²⁾

1) 和歌山県立医科大学附属病院腫瘍センター 准教授
2) 近畿大学医学部外科学教室呼吸器外科部門 主任教授

今週のQ&A (肺癌)

Q. PD-L1≥50%の肺腺癌 (stage IV、 80歳、 PS 0)、 どの治療を選択しますか?

  1. カルボプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ
  2. カルボプラチン+ペメトレキセド
  3. ペムブロリズマブ

解説

PD-L1≥50%の場合、 プラチナ併用療法+免疫チェックポイント阻害薬(ICI)もしくはICI単独が標準治療である (KEYNOTE-189試験のサブセット、 KEYNOTE-024試験)。  現在日米で比較試験が進行中であるが、 間接的な比較では3剤併用で奏効率(ORR)や無増悪生存期間(PFS)中央値が上回るものの、 長期PFSは同程度とされている。  また、 高齢の場合は、 irAEや化学療法追加による毒性の増加が懸念される。

今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)においては、 75歳以上の患者に対するプラチナ併用療法+ICIとICI単独を比較検証した結果が日本から報告された (Uematsu M)。 毒性の少ない新規薬剤の台頭によって、 最近は日本おいても暦年齢で治療を制限しない流れが増えてはいるが、 ASCOでの報告からICI単独を用いる傾向は強まると考えている。

ASCO 2023における報告

プラチナ併用療法+ICI vs ICI:1,245例の後方視的研究で年齢・PSなどの臨床背景をマッチさせて解析した。

PD-L1≥50%の場合、 PFSとOSに有意差なし。

  • PFS:12.8カ月 vs 7.9 カ月 (HR 0.86、P=0.47) 
  • OS:28.0カ月 vs 26.2カ月 (HR 0.92、P=0.77) 

内科医はこう考える

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正解はありませんが、 3を選択します。

外科医はこう考える

【臨床Q&A】PD-L1≥50%の肺腺癌、 どの治療を選択しますか?

年齢に関わらず、 PD-L1≧50%の場合はICIを主体とした治療が行われ、 プラチナ併用療法も追加するかどうかは議論となる。 外科医が扱うことのある術後再発症例はstage IVの治療法に準じて行うことが多いが、 stage IVと比較して腫瘍量が少ない場合が多いので、 ICI単独が選択されやすい。

個人的には年齢、 併存症、 腫瘍量などを参考にして総合的に判断するが、 80歳でもPS0であれば、 1, 3の両選択肢を示しながら、 患者さんと相談しながら選択している。

参考文献

  1. First-line immune checkpoint inhibitors alone or in combination with chemotherapy in real-life elderly patients with advanced non-small cell lung cancer (NEJ057). J Clin Oncol Vol 41, Issue 16_suppl. 2023
  2. Pembrolizumab plus Chemotherapy in Metastatic Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2018 May 31;378(22):2078-2092. PMID: 29658856
  3. Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2018 May 31;378(22):2078-2092. PMID: 29658856

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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