COURAGE
7ヶ月前
4月20日に開催された 「第4回COURAGEの集い」 にて行われた 「副腎癌 (講師 : 国立がん研究センター中央病院 前嶋愛子先生) 」 をご紹介します。
内分泌的精査が当然重要であるが、 副腎皮質ホルモンの過剰分泌に伴う症状の聴取やホルモン検査、 褐色細胞腫の除外も必要。
Weiss criteria (1984年)
Helsinki score (2015年)
ENSAT staging classification (2018年)
副腎皮質癌患者177例*を対象にミトタン術後療法の有効性を検討した無作為化対照非盲検並行群間比較試験
無再発生存期間 (RFS) 中央値
ミトタン術後療法群 : 42ヵ月
術後療法なし (イタリア) : 10ヵ月
術後療法なし (ドイツ) : 25ヵ月
副腎皮質癌患者91例*を対象にミトタン術後療法の有効性、 安全性を検討した第Ⅲ相国際共同無作為化非盲検試験
5年無再発生存期間 (RFS)
ミトタン術後療法群 : 79%
術後療法なし : 75%
有害事象による中止
ミトタン投与42例のうち8例 (19%) が中止
進行副腎皮質癌患者304例*を対象に、 ミトタンと併用する化学療法を検討したランダム化対照第III相試験
治療群
EDP‐M群 : EDP療法+ミトタン
Sz‐M群 : トレプトゾシン療法+ミトタン
治療開始1週間以上前からミトタン内服
全生存期間 (OS) 中央値
EDP‐M群 : 14.8ヵ月
Sz‐M群 : 12.0ヵ月
奏効率 (RR)
EDP‐M群 : 23.2%
Sz‐M群 : 9.2%
無増悪生存期間 (PFS) 中央値
EDP‐M群 : 5.0ヵ月
Sz‐M群 : 2.1ヵ月
安全性
重篤な有害事象の発現率は両群間で有意差なし
抗ILGF-1受容体モノクローナル抗体
💡副腎皮質癌は進行した状態で発見されることが多く、 予後不良な疾患の1つ
💡新規薬剤の開発が試みられているが、 希少癌であるため障壁も多い
💡標準治療の1つとされるEDP‐Mは、 副腎不全や骨髄抑制といった重篤な有害事象をきたすことがある
化学療法の経験がある施設で、 腫瘍内科や内分泌内科と連携して治療にあたることが勧められる
前嶋 無症候でもサブクリニカルな副腎不全と判断される場合もありますので、 血液検査上でACTHやコルチゾン、 電解質などの変化が見られる場合には必ず早めにコンサルテーションしています。
ホルモン測定のタイミングなども含めてご対応くださいます。 例えばミトタンが奏効している症例で、 副腎不全などを懸念して増量を躊躇していた際に、 内分泌専門医に 「副腎不全や消化器毒性などはみられず、 むしろ増量していい状況です」 と助言いただき、 適切な増量ができた経験もあります。
当院は内分泌の専門医が常にいる施設ではありませんが、 月2回ほど専門外来として外来日がありますので、 とても心強いです。
前嶋 当院では、 一時予防でG‐CSF製剤は使用していないと思いますが、 2コース目以降で高度の骨髄抑制や発熱性好中球減少症などがあった場合、 G‐CSF製剤の使用を検討しています。
前嶋 アジュバントとして使用する場合は2,000~3,000mg/日、 転移・再発症例の場合は3,000~5,000mg/日かと思います。
ご指摘の通り血中濃度が測れないことが最大の難点ですが、 肝障害や神経障害など有害事象を慎重にモニタリングしながら、 用量調節をしているのが現状です。
大木* 血中濃度が測れない**以上、 個人的には有害事象が出るぎりぎりくらいまでを攻めるのがよいかと思います。
<出典>
泌尿器腫瘍を扱う腫瘍内科医が集い、 知識を共有する場として設立された勉強会です。
日常診療で泌尿器腫瘍を診ている医師のみならず、 腫瘍内科医を目指す医師などにも泌尿器腫瘍の魅力に触れてもらい、 そのような人たちを「エンカレッジ」するような組織になることを目指しています。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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