寄稿ライター
2年前
英語のプレゼンテーションは国内の学会でも一般的になり、 その重要度は増している。 メッセージを効果的に伝えるにはどうしたらいいか。 近畿大特任教授の光冨徹哉先生に極意を聞いた。 連載2回目のテーマは 「すぐ使える!生成AIの機能3選」。
どんどん新しいGenerative (生成) AIが出てきています。 全部試すことはできていませんが、 現段階で何が出来て、何が出来ないのかを紹介します。
まず、 スライドを自動作成してくれる 「SlidesGPT」 で、 肺がんで有名な臨床試験 「KEYNOTE-189」 のスライドを10枚作りました。 結論から言うと、 一見それらしいものが出来上がりますが、 そのまま使うのはまだ無理です。
スライド自体は5〜10分で作成し、 内容に沿った画像が配置されます。 ただ、 数字がデタラメだったり、テキストが余り意味のない内容を含んでいたりしました。 これを自分で手直しするくらいなら、 最初から自分で作成した方が早い気がします。
一方、 とても便利だと感じた機能もあります。 ChatGPTにスライドのアウトラインを入力してスクリプトをつくるように要求し、 スライドの内容を基にした読み原稿を作ることです。 話すスピードや、 持ち時間に応じた原稿が簡単にできあがります。 内容の要約や言い換えは、 生成AIが得意とする分野と言えるでしょう。
スライドからscript原稿を作る
次に、 DALL・E2 (ダリ ツー) など画像生成AI の活用です。 DALL・E2は、 テキストの説明からオリジナルの画像やイメージを作成してくれます。 写真のような本物そっくりの画像はもちろん、 アニメ風や絵画風なども可能です。
スライドで使う画像をインターネットから引っ張ってくることも多いと思いますが、 著作権などの問題に抵触する恐れもあります。 画像生成AIのものは著作権フリーですので安心です。 画像の背景を変更するなどの編集もできます。
PowerPointなどOfficeアプリケーションには、 もともとの機能を拡張できるプログラミング言語VBA (Visual Basic for Applications) が組み込まれているのですが、 これを使いこなしている人は少ないと思います。 このVBAのコードをChatGPTに書いてもらえば、それをもとにスライドを作ることができるようです。
この方法は少し難しそうですが、 Officeに生成AIの最新モデルGPT-4を組み込んだ 「Microsoft 365 Copilot (コパイロット)」 が3月に発表されました。 リリース時期は未定ということですが、 誕生日のスライドを作るデモを見ると、 かなり綺麗な出来栄えです。 学会発表の場合、 医学系のデータをどう学習させるかという課題はありますが、 使えるようになれば私たちにも大きな影響があるでしょう。
現段階では、 生成AIはプレゼン資料作成の補助的なツールに過ぎません。 ファクトチェックなどの手間もあり、 生成AIを活用した方がかえって時間がかかるかもしれません。
ただ、 今後10年で資料作成の根本を劇的に変える可能性を秘めています。 よりコストをかけず、 短時間で聴衆の関心を引きつけるプレゼンができるようになるかもしれません。
自分の意図する資料を作るために限りませんが、 「生成AIにどう指示 (プロンプト) や質問をすればいいか」 というスキルが、 AIをフル活用するために今後重要になってくるでしょう。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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