irAEガイド
2年前
レジメン機能に、 免疫関連副作用 (immune-related Adverse Events) をまとめた 「irAEガイド」が追加されました!今回はみなさまに掲載コンテンツをご紹介いたします。
>> 関連する記事をもっと読む
2022年末時点で、 免疫チェックポイント阻害剤 (ICI*) の承認癌腫は18種類にもなる。 進行期のみならず、 周術期でも承認が進んでおり、 ICIを受ける患者対象は増加の一途を辿っている。
ICIの有害事象は従来の細胞障害性抗癌剤に比して一般的に軽い。 しかし、 免疫関連有害事象 (irAE*) と総称される従来経験されなかったAEを生じることが知られている¹⁾²⁾。
メタ解析によるirAEの頻度はany Gradeで40%、 重篤なものは1%前後である³⁾。
irAEは脳炎、 重症筋無力症、 肺臓炎、 大腸炎、 肝障害、 甲状腺機能異常、 1型糖尿病など多臓器にわたり、 発症時期も投与直後のみならず、 投与終了後数カ月して生じることも稀ではない (主な有害事象の発症時期は図1¹⁾)。
単独投与より多剤併用の場合に頻度が上昇する。 参考までにキイトルーダ®︎適正使用ガイドより、 各irAE発症頻度を引用する。
<単独投与時>
<併用投与時>
irAEの中でも心筋炎や脳炎は致命率が高い事が知られている。 また重篤なirAEは一般に発症が早い傾向にある (投与後30日前後)。
自覚症状の多くは倦怠感・息切れなど非特異的かつがん患者でよくみられる症状であるため 「まずはirAEを疑う」 ことが何より重要である。 また、 甲状腺機能や副腎機能は定期的な検査が必要となる。
irAE発症例では非発症例に比して抗腫瘍効果が高いため⁴⁾、 irAEに遭遇した場合は 「進行がん患者だから」 などと諦めず、 しっかりと対応する事が長期予後につながる。
一方で重篤なirAEを生じた場合、 特にステロイド不応で追加の免疫抑制剤を要した場合にはステロイド単独に比して予後不良とする報告もあり⁵⁾、 この辺りの治療判断が悩ましい事も事実である。 主診療科以外との連携が重要となるが、 他科コンサルトの際はこうした状況も併せて伝えておくとよい。
甲状腺機能低下症、 副腎不全など
主なガイドラインを掲載する。 また、各薬剤の適正使用ガイドも参考になる。
がん免疫療法ガイドライン第2版, 金原出版 (日本臨床腫瘍学会員のみ学会HPよりWeb版ダウンロード可能) ※第3版が刊行間近
最終更新:2024年2月3日
執筆監修:和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。