HOKUTO編集部
2ヶ月前
日本消化器病学会と日本肝臓学会は8月22日、 両学会合同で検討を続けてきた脂肪性肝疾患 (SLD) に関する病型分類の日本語名について、 日本医学会の医学用語管理委員会で承認され、 正式に決定したと発表した。
今回決定された日本語病名は以下の通り。 今回の決定により、 MASLDは 「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」、 MASHは 「代謝機能障害関連脂肪肝炎」 と称されることとなった。 以下はその他の日本語病名の一覧である
Steatotic Liver Disease (SLD)
脂肪性肝疾患
Metabolic Dysfunction Associated Steatotic Liver Disease (MASLD)
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
Metabolic Dysfunction Associated Steatotohepatitis (MASH)
代謝機能障害関連脂肪肝炎
Alcohol Associated Liver Disease (ALD)
アルコール関連肝疾患
MetALD
代謝機能障害アルコール関連肝疾患
Cryptogenic Steatotic Liver Disease
成因不明脂肪性肝疾患
Specific Aetiology Steatotic Liver Disease
特定成因脂肪性肝疾患
2023年6月、 欧州肝臓学会 (EASL) は米国肝臓病学会 (AASLD)、 ラテンアメリカ肝疾患研究協会 (ALEH) と合同で、 SLDの病名と分類法を変更すると発表した¹⁾。 "alcoholic"および"fatty"は不適切用語と見なされることが名称変更の理由だ。
これにより、 非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)、 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) はそれぞれMASLDとMASHに、 アルコール性肝疾患は 「アルコール関連肝疾患 (ALD) 」 に変更され、 さらに、 「MetALD」、 「Cryptogenic Steatotic Liver Disease」、 「Specific Aetiology Steatotic Liver Disease」 というより細かい病型分類も示された。
日本消化器病学会および日本肝臓学会は、 この変更に賛同する旨を同年9月に合同で発表し、 日本語での新病名に関して検討を続けてきた。
MASLD、 MetALD、 ALDの診断に用いる心血管イベントのリスク因子基準、 アルコール摂取量に関して、 国際基準と日本のメタボリック症候群およびアルコール性肝障害の基準とでは異なる部分がある。 そのため、 日本肝臓学会と日本消化器病学会は両者の整合性に関して検討を続けており、 結果はまとまり次第発表するとしている。
¹⁾ Hepatology. 2023 Dec 1;78(6):1966-1986.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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