【寄稿】MASLDレビュー論文を公開 / 肝疾患抽出簡易検査シートについて
著者

神奈川県内科医学会

1年前

【寄稿】MASLDレビュー論文を公開 / 肝疾患抽出簡易検査シートについて

【寄稿】MASLDレビュー論文を公開 / 肝疾患抽出簡易検査シートについて

神奈川県内科医学会肝・消化器疾患対策委員会、 横浜市立大学附属病院、 国立病院機構横浜医療センターで共同執筆した 「MASLD (以前は非アルコール性脂肪性肝疾患 NAFLD)と呼ばれていた)」 に関するレビュー論文と、 その中でも取り上げられている 「肝疾患簡易抽出シート」についてご紹介します。


論文の概要とポイント

解説医師:米田正人氏

横浜市立大学肝胆膵消化器病学横浜市立大学先端医科学研究センター/セローム解析センター/横浜市立大学附属病院 国際臨床肝疾患センター

肝疾患は、 特徴的な自覚症状が乏しく進行するため、 医療機関を初めて受診した際、 また医療機関に通院中でも肝硬変、 肝不全、 肝細胞癌に進行している症例を経験することがあります。 健康診断や日常診療の過程で肝疾患患者の初めての窓口であるかかりつけ医、 各種精密検査や専門的治療を行う肝臓専門医との協力体制が、 効果的かつ総合的な医療を提供する上で不可欠となります。

神奈川県内科医学会肝・消化器対策委員会では 10 年前の2014 年から 「肝疾患簡易抽出シート」 を作成し、 精査・加療が必要な肝疾患患者を適切に拾い上げる、 掘り起こす取り組みを行ってきました。

肝疾患抽出簡易検査シート
【寄稿】MASLDレビュー論文を公開 / 肝疾患抽出簡易検査シートについて

今回、 神奈川県内科医学会肝・消化器疾患対策委員会、 横浜市立大学附属病院、 国立病院機構横浜医療センターが 「Frontiersof Collaboration between Primary Care and Specialists in the Management ofMetabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease: A Review (メタボリック関連脂肪性肝疾患の管理におけるプライマリ・ケア医と専門医の連携の最前線) 」 を共同執筆し、 Life 誌 (IF=3.2) に掲載されました。

Life | Free Full-Text | Frontiers of Collaboration between Primary Care andSpecialists in the Management of Metabolic Dysfunction-Associated SteatoticLiver Disease: A Review (mdpi.com)

近年、 非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) と呼ばれていた疾患も差別的表現 (alcoholic:飲んだくれ、 fatty: ふとっちょ) を排除した新名称として metabolic dysfunction associated steatotic liverdisease (MASLD)に変更することが2023 年に米国、 欧州、 日本でも正式に決定しました。 

本レビューではMASLD の名称変更の経緯、 病態、 疫学、 かかりつけ医で行う各種肝疾患の抽出方法として神奈川県内科医学会 「肝疾患簡易抽出シート (2014 年~) 」 、 および同様の目的で2023 年に日本肝臓学会で提唱された 「奈良宣言 2023」 の内容の紹介、 肝臓専門医で行う線維化マーカー検査、 超音波エラストグラフィ、 MR エラストグラフィの紹介を行いました。

本レビューや 「肝疾患簡易抽出シート」 が広く診療に活用され、 肝疾患患者の拾い上げ,迅速な原因検査につながり、 機会を逸することなく肝臓専門医との診療連携によって適切な医療が構築されることが期待されます。


HOKUTOユーザーへのメッセージ

肝疾患抽出簡易検査シートについて

神奈川内科医学会 肝・消化器疾患対策委員会の新たな取り組み  ~紹介過剰またはアンダートリアージにならぬように~

解説医師:永井 一毅氏・岡正直氏

神奈川県内科医学会肝・消化器疾患対策委員会

2023年6月15日、 日本肝臓学会は 「奈良宣言2023」 を発表しています。 この宣言は、 肝機能検査としてALT値が30 IU/Lを超えたら (ALT over 30) 、 かかりつけ医を受診して原因を調べ、 必要があれば肝臓専門医で精密検査を受けることを国民に呼び掛けるものとしています。 

今後かかりつけ医では、 ALT over 30への対応が増え紹介過剰またはアンダートリアージにならぬよう、ある程度原因抽出介入が必要になります。 2014年より神奈川県内科医学会:肝・消化器疾患対策委員会では、 簡便な 「肝疾患抽出簡易検査シート」 を作成し発信してきました。 また、 横浜市立大学附属病院、 国立病院機構横浜医療センターと 「Frontiers of Collaboration between Primary Care and Specialists in the Management of Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease: A Review」 を共同執筆しLife誌に掲載されました。 

レビューの中でも、 本シートを紹介して頂いております。 ALT over 30にて、 かかりつけ医の初期対応が非常に重要になってきていますので、 本シートを少しでも利用して頂き、 肝疾患の早期発見・早期治療につながれば幸いです。

Point ①

肝疾患簡易抽出シートを用いることで、 非専門医でも容易に精査を要する肝疾患患者を抽出することができる。

Point ②

これまで軽微な肝疾患としても逃されていた患者からウイルス性肝炎の可能性のある者を見出し、 専門医療につなげることができる。

Point ③

紹介過剰またはアンダートリアージにならぬよう、 専門医療機関の負担の軽減に繋げる。

>>肝疾患抽出簡易検査シートの詳細はこちら

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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