海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Beydon氏らは、 関節リウマチ (RA) の治療を受けている患者の癌発症リスクについて、 フランスの健康保険請求データベース (SNDS) における登録データを用いて、 一般母集団の癌発症率と比較する研究を行った。 その結果、 RA治療患者では一般集団と比較して、 乳癌、 膵癌、 子宮内膜癌を除いたあらゆる癌のリスクが高かった。 本研究はLancet Reg Health Eur誌において発表された。
本研究は関節リウマチと癌の関連ですが、 2つの異なる領域を組み合わせたいわゆるギャップ研究が盛んに行われています。 より柔軟な発想によるさまざまな領域の組み合わせの研究が今後も期待されます。
RA患者における癌の発症リスクは一般集団と比較して10~30%高いことが既に示されている。 しかし、 頻度の低い癌に関するデータは不足しており、 近年新しく開発されたRAに対する治療法が癌発症リスクに影響を及ぼしている可能性も考えられる。
2010年1月1日~2020年12月31日にRA治療歴のある成人患者およびフランス人母集団 (対照群)
2010年1月1日~2019年12月31日にRA治療を受けていた20歳以上の患者で、 癌の既往がない症例を選出した。
RA治療薬を使用開始した日から死亡するまで、 フランスの健康保険制度から脱退するまで、 あるいは2020年12月31日まで継続的に追跡を行い、 追跡期間中の癌発症の有無を確認した。
その上で、 年齢と性別を標準化したRA患者における様々な部位の癌発症率を算出し、 フランス癌登録ネットワーク (FRANCIM) を用いた一般母集団の標準化罹患比 (SIR) を推定した。
あらゆる癌のSIR
使用したRA治療薬とあらゆる癌の発症リスクの関係
DMARD、 TNF阻害薬、 リツキシマブ、 アバタセプト、 抗IL-6受容体抗体、 JAK阻害薬など
RA患者ではフランス人母集団に比較して、 あらゆる癌の発症リスクが高かった。
SIR(95%CI)
一方、 膵癌、 乳癌、 子宮内膜癌の発症リスクは一般母集団より低かった。
RA治療薬と癌リスクの関係では、 リツキシマブ使用患者のSIRが最も高かった。 特にホジキンリンパ腫と多発性骨髄腫の発症リスクは、 リツキシマブ使用患者において顕著な増加が見られた。
RA治療を受けている患者は、 一般母集団に比較して、 あらゆる癌の発症リスクが高いことが示された。 ただし、 乳癌、 膵癌、 子宮内膜癌など、 一部発症リスクが低い癌も認められた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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