海外ジャーナルクラブ
2年前
Johnsonらは、 再発・難治性の血液癌患者を対象に、 CAR-T細胞療法後の患者報告アウトカム (PRO) の経時的変化を縦断的研究で検討。 その結果、 CAR-T細胞療法に伴うQOL、 心理的苦痛、 身体症状は一時的に悪化するが、 多くの症例において6カ月後には改善したことが明らかとなった。 本研究はBlood Adv誌において発表された。
QOLに着目した大変斬新な研究です。
CAR-T細胞療法は再発・難治性の血液悪性腫瘍の治療を革新したが、 複雑なロジスティックスと独特の毒性という課題がある。 CAR-T細胞療法を受けた患者のPROデータは限られている。
CAR-Tを受けた血液悪性腫瘍の成人患者
CAR-T細胞療法の実施
ベースライン時、 CAR-T細胞注入後1週間、 1カ月、 3カ月、 6カ月のQOL (FACT-G)、 心理的苦痛 (HAD尺度、 phq-9、 PTSDチェックリスト)、 身体症状 (ESAS-r) を評価
QOL (B=1.96、 P<0.001) およびうつ症状 (B=-0.32、 P=0.001) は、 1週間後までに悪化し、 6カ月後までに改善した。
1週間後には52%が重度の身体症状を訴えたが、 CAR-T細胞療法後6カ月では28%に減少した。
未調整の線形混合モデルでは、 ECOG PSの悪化 (B=1.24、 p=0.042)、 トシリズマブの投与 (B=1.54、 p=0.042)、 サイトカイン放出症候群やICANSに対するコルチコステロイドの投与 (B=2.05、 p=0.006) は高いQOL軌道と関連した。
CAR-T細胞療法後、 一時的にQOLは低下し、 うつ症状が増加するが、 注入後6カ月までにQOL、 心理的苦痛、 身体症状が改善した。 一方で、 一部の患者は6カ月後もかなりの心理的苦痛と身体症状を報告しており、 支持的ケアの必要性が強調されている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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