【BMJ】合併症のない症候性胆石症、保存療法が手術の代替となる可能性
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【BMJ】合併症のない症候性胆石症、保存療法が手術の代替となる可能性

【BMJ】合併症のない症候性胆石症、保存療法が手術の代替となる可能性
Ahmedらは、 合併症のない症候性胆石症の患者を対象に、 腹腔鏡下胆嚢摘出術と保存的治療の臨床的効果および費用対効果を並行群間無作為化優越性試験C-GALLで比較検討した。 その結果、 保存的治療は腹腔鏡下胆嚢摘出術と比較して短期的には有効で、 費用対効果も優れていた。 本研究は、 BMJ誌において発表された。

📘原著論文

Effectiveness of conservative management versus laparoscopic cholecystectomy in the prevention of recurrent symptoms and complications in adults with uncomplicated symptomatic gallstone disease (C-GALL trial): pragmatic, multicentre randomised controlled trial. BMJ. 2023 Dec 6:383:e075383. PMID: 38084426

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究成果の臨床応用をどのようにするか少し悩みます。 本文からは、 腹腔鏡下胆嚢摘出術が一般的な治療として推奨されてきたが、 保存的管理も議論して良いのでは、 というような記載です。


研究デザイン

対象

18歳以上で合併症のない症候性胆石症の患者 : 434例

介入

患者を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付け。

  • 保存的治療群 : 217例
経過観察と痛みを緩和するための鎮痛薬の処方
  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術群 : 217例

主要評価項目

QOL

short form 36 (SF-36) の体の痛みドメインを用いて、 18ヵ月間の曲線下面積 (AUC) で評価した。

研究結果

18ヵ月までのSF-36の体の痛みの平均スコア

  • 保存的管理群 : 49.4 (SD 11.7)
  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術群 : 50.4 (同11.6)

18ヵ月までのSF-36の体の痛みのAUC

  • 保存的治療群 : 46.8 (SD 8.8)
  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術群 : 46.8 (同8.7)
平均差 0.0(95%CI -1.7-1.7)、p=1.00

費用対効果

1例当たりの平均費用は、腹腔鏡下胆嚢摘出術群の2,510ポンドに比し、 保存的治療群は1,477ポンドと安価であった。

平均差 -1,033ポンド (-1,334ドル、 -1,205ユーロ、95%CI -1,413~-632ポンド)

1例当たりの平均補正質調整生存年 (QALY)

両群間に差はなかった。

平均差 -0.019(95%CI -0.06-0.02)

結論

合併症のない症候性胆石症の成人患者において、 腹腔鏡下胆嚢摘出術は保存的治療と比較し、 短期間 (≦18ヵ月) においては有効性は示されなかった。 保存的治療は手術の代替手段として考慮されるべきであり、 特に短期間の治療においては費用対効果が高い可能性がある。 両群とも、 18ヵ月以降も費用、 合併症、 有益性は発生し続けるため、 今後は、 有効性と生涯の費用対効果を確立し、 通常治療として手術を行うべき患者群を特定するために、 より長期の追跡に焦点を当てた研究が求められる。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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