海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Nishijimaらは、 九州がんセンターにおける進行癌を有する日本人高齢患者を対象に、 老年腫瘍科による介入が化学療法を受けた患者の生存転帰を改善するかを検討した。 その結果、 老年腫瘍科導入後に管理された高齢癌患者は、 過去の対照群と比較し生存転帰が改善した。 本研究は、 JCO Oncol Pract誌において発表された。
"Before-and-after study (組織のシステム変更を評価する際によく選択される研究)" というのは、 どうしても査読で残された何らかのbiasを指摘せざるを得ないので、 limitationにさまざまなbiasが列挙されます。 一方、 臨床的にはガラッと変わった結果が確かに存在していることと思います。
高齢者総合機能評価 (CGA) が化学療法を受けた高齢癌患者の転帰を改善することは過去の研究によって明らかにされている。 本研究では、 老年腫瘍科による具体的な介入の影響を評価することを目的としている。
老年腫瘍科導入前 (2015年9月~2018年8月) と導入後 (2018年9月~2021年3月) に、 化学療法のため腫瘍内科に紹介された70歳以上の進行癌患者を対象にした比較研究
九州がんセンターにおいて、 化学療法のため腫瘍内科に紹介された70歳以上の進行癌患者
患者を以下の群に割り付けた。
治療失敗 (TTF) イベント発生率、 全生存期間 (OS)
全患者の年齢中央値
75歳 (範囲 70-95歳)
癌の種類
85%が消化器癌であった。
化学療法の実施
- 老年腫瘍科群 : 154例
- 対照群 : 128例
ベストサポーティブケアのみの実施
- 老年腫瘍科群 : 37例
- 対照群 : 23例
CGAの実施
老年腫瘍科群では82例が治療決定前にCGAを受け、 60% (49例) で治療計画が変更された。 CGAに基づく老年医学的介入の全実施率は45%であった。
30日時点のTTFイベント発生率
- 老年腫瘍科群 : 5.7%
- 対照群 : 14%
p=0.02
60日時点のTTFイベント発生率
- 老年腫瘍科群 : 13%
- 対照群 : 29%
p=0.001
OS
老年腫瘍科群は対照群よりもOSが長かった。
HR 0.64 (95%CI 0.44-0.93、 p=0.02)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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