化学療法歴のある切除不能な胆管癌患者において、 FGFR遺伝子に対する選択的阻害薬ペミガチニブの効果を検証した単群コホートの第Ⅱ相試験FIGHT-202の結果より、 FGFR2遺伝子の融合または再構成を有する場合にペミガチニブが有効である可能性が示された。
原著論文
▼解析結果
Pemigatinib for previously treated, locally advanced or metastatic cholangiocarcinoma: a multicentre, open-label, phase 2 study. Lancet Oncol. 2020 May;21(5):671-684. PMID: 32203698
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FIGHT-202試験の概要
対象
化学療法歴のある切除不能な胆管癌患者
方法
FGF/FGFR遺伝子の状態に基づき、 145例を以下の3つに分類
FGFR2遺伝子の融合・再構成
上記以外のFGF/FGFR遺伝子異常
FGF/FGFR遺伝子異常を認めない
病勢進行、 許容できない有害事象、 同意の撤回、 医師の選択に至るまで、 ペミガチニブを1日1回 (開始用量13.5mg/day) 投与。 2週投与、 1週休薬の21日サイクル
評価項目
- 主要評価項目:コホートAの奏効率 (ORR)
- 副次評価項目:コホートBとCのORR、 奏効期間、 病勢コントロール率、 無増悪生存期間 (PFS) 、 全生存期間 (OS) 、 安全性
FIGHT-202試験の結果
患者背景
- 年齢中央値は59歳
- 治療期間の中央値は、 コホートA 7.2ヵ月、 コホートB 1.4ヵ月、 コホートC 1.3ヵ月
ORR
(95%CI 26·5-45·4%)
病勢コントロール率
(95%CI 74-89%)
(95%CI 19-64%)
(95%CI 6-48%)
奏効期間 (中央値)
(95%CI 5.7-14.5ヵ月)
PFS中央値
(95%CI 6.2-9.6ヵ月)
(95%CI 1.2-4.9ヵ月)
(95%CI 1.3-1.8ヵ月)
PFS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時)
- コホートA:62%、 29%
- コホートB:25%、 0%
- コホートC:6%、 0%
OS中央値
(95%CI 14.8ヵ月-NE)
(95%CI 2.1-10.6ヵ月)
(95%CI 2.3-6.5ヵ月)
OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時)
- コホートA:89%、 68%
- コホートB:51%、 23%
- コホートC:31%、 13%
有害事象 (AE)
- 全コホートにおいて、 最も一般的なAEは高リン血症 (60%) であり、 その他に発現率40%以上のAEは、 脱毛症、 下痢、 疲労、 味覚異常であった。
- Grade3以上のAEを認めたのは64%で、 頻度が高かったのは、 低リン血症 (12%) 、 関節痛 (6%) 、 口内炎 (5%) 、 低ナトリウム血症 (5%) 、 腹痛 (5%) 、 疲労 (5%) であった。
- AEにより治療を中止したのは9%であった。
著者らの結論
FGFR2遺伝子の融合または再構成を有する、化学療法歴のある切除不能な胆管癌患者において、 ペミガチニブが有効である可能性が示された。