HOKUTO編集部
23時間前

2026年のESMO Breast Cancer (5月6~8日、 ドイツ・ベルリン) が開催されました。 現在のホットトピックに一石を投じるような興味深い第Ⅱ相試験、 重要な第Ⅲ相試験の追加解析など盛りだくさんでした。 本稿では、 特に話題に挙がった4演題を紹介します。

HER2陽性早期乳癌に対し、 化学療法を併用せずにトラスツズマブ+ペルツズマブ (HP) で術前治療を開始し、 病理学的完全奏効 (pCR) に応じて術後治療を選択するという病理評価ベースのresponse guided戦略を検証した第Ⅱ相試験です。 pCRが得られればHPを継続、 得られなければT-DM1に切り替えるというデザインでした。
なお、 前身のPHERGainはFDG-PETと病理ガイドで治療を検討した試験でした。
396例のうちpCRは236例 (59.6%) に達し、 奏効が得られた患者さんはそのまま化学療法フリーの術後HP継続へ移行しました。
低リスク群で化学療法を回避できる可能性を示した点に大きな意義があり、 今後の長期フォローデータが楽しみです。
術前化学療法後に残存病変を有するトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) を対象に、 術後療法として抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+カペシタビンとカペシタビン単独を比較した第Ⅱ相無作為化比較試験です。
主要評価項目である全体集団の無浸潤疾患生存期間 (iDFS) において、 アテゾリズマブ+カペシタビンによる有意な生存ベネフィットは示されませんでした。
一方、 PD-L1陽性例では、 両群間で有意差はなかったものの、 アテゾリズマブ+カペシタビンによりiDFS (HR 0.67, p=0.32) ・全生存期間 (HR 0.57, p=0.32) ともに改善傾向がみられました。
今回はネガティブ試験としての報告ではありましたが、 術後の免疫チェックポイント阻害薬の意義については現在も議論が続く中で重要な報告となりました。
高リスクHER2陽性早期乳癌を対象に、 以下の2群を比較した第Ⅲ相試験における残存癌量 (RCB) の報告です。
主要解析では、 pCR率はT-DXd-THP群 67.3% vs ddAC-THP群 56.3% (絶対値で11.2%㌽) とT-DXd-THP群で有意に良好でしたが、 今回の解析でもRCB-0+I (最小残存) が321例中261例 (81.3%) vs 320例中221例 (69.1%) と、 全集団で上回りました (絶対値で12.2%㌽)。
pCRに至らない症例でも残存病変が少ないことが示されました。 本レジメンは今後日本でも承認が見込まれており、 アンスラサイクリン系薬剤を用いないレジメンとしても重要な立ち位置であることが示されました。
T-DXdを含む前治療歴のあるHER2陽性転移性乳癌に対し、 抗Trop-2抗体薬物複合体 (ADC) のサシツズマブ ゴビテカン+トラスツズマブを投与した単群第Ⅱ相試験です。 対象はタキサン系薬剤・トラスツズマブ・T-DXd既治療例で、 抗HER2治療歴の中央値は5ラインとかなり後方のラインであり、 33%が脳転移を有していました。
臨床的な奏効が得られたのは27例中1例 (確定部分奏効) のみで、 客観的奏効率 (ORR) は3.7%と、 期待された効果は得られませんでした。
かなり後方ラインでの検証のため、 全体として治療が効きにくい対象ではありましたが、 標的を変えてもペイロード (トポイソメラーゼⅠ阻害) が同系統であれば、 T-DXd後の抵抗性を克服しにくいことが示唆されたことは、 重要な知見です。
年々、 このESMO Breastでも重要な演題が多く発表されるようになってきた印象を個人的に持っています。 私自身、 現地参加することはできませんでしたが、 Xからもその盛り上がりを感じとることができました。 今後も見逃すことができない国際学会の一つと言えそうです。
【DESTINY-B11】高リスクHER2陽性早期乳癌、 術前 「T-DXd-THP」 でpCR率が改善
【Ann Oncol】HER2+早期乳癌、 化学療法不要戦略でpCR率60%
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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