【JAMA】急性単純性虫垂炎に抗菌薬は有効か? 10年再発率は37.8%
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海外ジャーナルクラブ

2ヶ月前

【JAMA】急性単純性虫垂炎に抗菌薬は有効か? 10年再発率は37.8%

【JAMA】急性単純性虫垂炎に抗菌薬は有効か? 10年再発率は37.8%
Salminenらは、 フィンランドにおいて、急性単純性虫垂炎の初期治療として抗菌薬治療を受けた成人患者の長期予後を多施設共同無作為化比較試験APPACの観察追跡調査で評価した。 その結果、 抗菌薬治療後10年間における再発率は37.8%、 累積虫垂切除率は44.3%と一定のリスクを伴うものの、 合併症発症率は虫垂切除と比べて有意に低下した。 本研究はJAMA誌において発表された。

📘原著論文

Antibiotic Therapy for Uncomplicated Acute Appendicitis: Ten-Year Follow-Up of the APPAC Randomized Clinical Trial. JAMA. 2026 Jan 21:e2525921. Online ahead of print. PMID: 41563747

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

日本からは成人単純性虫垂炎に対する抗菌薬治療の長期RCTは報告されていません。 日本の小児データ (Tanaka 2015) では追跡4年以内の再発率19-29%であり、 APPACの10年37.8%は長期追跡による再発累積を反映していると考えられます。 日本では皆保険下で腹腔鏡手術へのアクセスが良好なため手術第一選択の傾向が強く(Hori 2017)、 APPACの合併症差 (8.5% vs 27.4%) も開腹手術ベースである点に留意が必要です。

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Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025 Mar;10(3):222-233.

背景

抗菌薬治療後5年を超えるRCTのエビデンスはこれまで限定的であった

成人の急性単純性虫垂炎に対して抗菌薬治療は有効かつ安全であるものの、 5年を超える無作為化比較試験のエビデンスは限定的である。

そこで本研究では、 初期治療として抗菌薬治療を受けた急性単純性虫垂炎患者の10年にわたる再発率および虫垂切除率を多施設共同無作為化比較試験APPACの観察追跡調査で評価した。

研究デザイン

追跡調査で10年間再発率などを評価

APPAC試験では、 2009年11月~2012年6月にフィンランドの6施設において、 CT検査で急性単純性虫垂炎と診断された18~60歳の患者530例が初期治療に基づいて以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。

抗菌薬治療群 : 257例

ertapenem sodium1g/日を3日間静脈内投与した後、 レボフロキサシン (500mg、 1日1回) およびメトロニダゾール (500mg、 1日3回) を7日間経口投与

虫垂切除群 : 273例

虫垂切除術を実施

今回の観察追跡調査では、 抗菌薬治療群における10年間の再発率に焦点を当てて評価した。

事前に設定された10年時点の副次エンドポイントとして、 抗菌薬投与から1年以降の虫垂切除術、 虫垂炎再発率、 合併症などが評価された。 また、 事後解析として、 抗菌薬治療群における虫垂切除患者および虫垂温存患者を対象として、 磁気共鳴画像法 (MRI) による虫垂腫瘍の可能性の検出のほか、 生活の質 (QOL) および患者満足度についても追加評価が行われた。

結果

抗菌薬治療後の10年再発率は37.8%、 累積虫垂切除率44.3%

追跡調査期間10年において、 抗菌薬治療群に割り付けられた257例のうち253例 (98.4%、 年齢中央値 33歳、 女性102例 [40.3%]) が虫垂炎再発の評価対象となった。

組織病理学的診断による虫垂炎再発率が37.8% (95%CI 31.6-44.1%) で認められ、 累積虫垂切除率は44.3% (95%CI 38.2-50.4%) であった。

抗菌薬治療で合併症発症率が有意に低減

10年間の累積合併症発症率は、 抗菌薬治療群が8.5% (95%CI 4.8-12.1%) であり、 虫垂切除群の27.4% (同 21.6-33.3%) と比べて有意に低減した (P<0.001)。

一方で、 QOLにおいて、 両群間で有意差は認められなかった (いずれも健康指数中央値 1.0 [95%CI 1.0-1.0]、 p=0.18)。

結論

単純性虫垂炎の初期治療の選択肢として抗菌薬の使用を支持

著者らは 「本結果は、 成人の急性単純性虫垂炎患者に対する初期治療の選択肢として抗菌薬の使用を支持するものである」 と報告している。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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