海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前

Abrahamらは、 生殖細胞系列BRCA変異陽性の早期乳癌患者を対象に、 化学療法にPARP阻害薬オラパリブを追加した術前療法の有効性と安全性を第II/III相無作為化比較試験PARTNERで検討した。 その結果、 化学療法単独と比較して病理学的完全奏効率に有意差は示されなかったものの、 全生存率の改善が示された。 試験結果はNat Commun誌に発表された。
本試験はIDMSC (独立データモニタリング・安全性委員会) の助言により中間解析の時点で中止されたため、 主要および副次解析に用いた症例数が少なくなった点は逆にlimitationといえます。
PARP阻害薬は、 生殖細胞系列BRCA変異 (gBRCAm) 陽性乳癌に特有のDNA修復機構の異常を標的とする。
化学療法+PARP阻害薬併用療法は血液毒性が課題となっているが、 前臨床モデルで、 毒性増強を回避しつつ抗腫瘍活性を維持できるレジメンとしてカルボプラチン+オラパリブ併用療法が特定された。
そこで、 このレジメンの有効性および安全性を第II/III相無作為化比較試験PARTNERで検討した。
早期gBRCAm乳癌患者84例が以下の2群に割り付けられた。
主要評価項目は病理学的完全奏効 (pCR) 率であった。
主要評価項目であるpCR率は、 オラパリブ併用群が64.1%で、 対照群の69.8%と比べて有意差は認められなかった (p=0.59)。
また、 36ヵ月時点の無イベント生存 (EFS) 率、 全生存 (OS) 率、 乳癌特異的生存 (BCSS) 率は、 オラパリブ併用群において改善が認められた (それぞれ96.4% vs 80.1% [p=0.04]、 100% vs 88.2% [p=0.04]、 100% vs 88.2% [p=0.04])。
一方、 無再発生存率 (RFS)、 無遠隔転移生存率 (DDFS)、 局所無再発生存率 (L-RFS) については、 両群間で有意差はみられなかった (RFS率、 DDFS率: 96.4% vs 87.9%、 L-RFS率: 96.4% vs 87.8%、 いずれもp=0.20)。
治療の早期中止は11例 (オラパリブ併用群5例、 対照群6例) に発生した。
オラパリブ併用群では、 血小板減少症および非発熱性好中球減少症などのGrade 3以上の有害事象 (AE) 発現率が対照群と比べて高かった (76.9% vs 60.0%)。 一方で、 カルボプラチンとパクリタキセルに関連する重篤なAEは対照群において多く認められた。
毒性を理由とした治療中止率は両群間で同程度であり、 オラパリブ併用群が7.7%、 対照群が8.9%であった。
両群のQOLはほぼ同様であった。
著者らは 「早期gBRCAm乳癌に対する術前療法で、 化学療法にオラパリブを上乗せするレジメンは、 安全かつ忍容性が高く、 OSを改善した。 今後、 大規模な試験でこの結果の検証が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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