未治療TP53-CLLへのイブルチニブ+GV、5年PFS率8割超もOS改善せず:GAIA/CLL13
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HOKUTO編集部

10日前

未治療TP53-CLLへのイブルチニブ+GV、5年PFS率8割超もOS改善せず:GAIA/CLL13

未治療TP53-CLLへのイブルチニブ+GV、5年PFS率8割超もOS改善せず:GAIA/CLL13
未治療でTP53変異陰性の慢性リンパ性白血病患者 (CLL) において、 BCL-2阻害薬ベネトクラクス+抗CD20抗体オビヌツズマブ (GV) とGV+ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬イブルチニブ (GIV) の有効性および安全性について、 化学免疫療法 (CIT) およびベネトクラクス+抗CD20抗体リツキシマブ (RV) を対照に検証した第Ⅲ相オープンラベル無作為化比較試験GAIA/CLL13の5年追跡結果より、 GIV療法が他の併用療法に比べPFSを有意に改善した。 独・University of CologneのMoritz Fürstenau氏が発表した。

背景

中間解析ではGV vs GIVでPFS有意差なし

GAIA/CLL13試験の中間解析では、 未治療でTP53変異陰性のCLLにおいて、 GVおよびGIVが、 CITおよびRVと比較しPFSを有意に改善したが、 GVとGIVの間ではPFSに有意差を認めなかった¹⁾。

試験の概要

未治療TP53変異陰性CLLを4群で比較

未治療でTP53変異陰性のCLL患者926例を以下の4群に1 : 1 : 1 : 1で無作為に割り付けた。

  • GIV群 : 231例
  • GV群 : 229例
  • RV群 : 237例
  • CIT群 : 229例
≦65歳はFCR (フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ) レジメン、 >65歳はBR (ベンダムスチン+リツキシマブ) レジメン

主要評価のPFS長期成績が今回報告

主要評価項目は15ヵ月時の微小残存病変陰性 (uMRD) 達成率+およびPFSだった。 今回は、 観察期間中央値63.8ヵ月(範囲 57.4-71.3ヵ月)におけるPFSの長期追跡結果が報告された。

*白血球1万個中CLL細胞1個未満と定義

試験の結果

IGHV非変異型が56%

年齢中央値は61歳、 併存疾患指数 (CIRS) 中央値は2、 免疫グロブリン重鎖可変領域 (IGHV) 非変異型が56%、 複雑核型が17%だった。

GIV群がGV群と比較しPFSを有意に改善

PFS中央値は、 CIT群の61.2ヵ月と比較して、 GV群ではNR(p<0.001)、 GIV群もNR(HR 0.34 [97.5%CI 0.24-0.50]、 p<0.001)と有意に改善した。

またRV群のPFS中央値である64.5ヵ月と比較しても、 GV群(HR 0.59 [97.5%CI 0.42-0.81]、 p<0.001)、 GIV群(HR 0.35 [97.5%CI 0.24-0.51]、 p<0.001)ともに有意な改善が見られた。

さらにGIV群はGV群と比較し、 PFSが有意に長かった(HR 0.61 [97.5%CI 0.41-0.91]、 p=0.0046)。 5年PFS率はGIV群が81.3%、 GV群が69.8%、 RV群が57.4%、 CIT群が50.7%だった。

全群でIGHV陰性患者はPFS短縮傾向に

また各治療群において、 IGHV変異陰性患者は変異陽性患者と比較しPFSが短く、 独立した予後因子であることが示された(GIV群 HR 2.07 [p=0.02]、 GV群 HR 2.68 [p<0.001]、 RV群 HR 2.17 [p<0.001]、 CIT群 HR 3.55 [p<0.001])。

OSは有意差認めず

5年OS率はGIV群が94.3%、 GV群が93.6%、 RV群が94.7%、 CIT群が90.7%で、 治療群間に差を認めなかった。

致死的AEはリヒター症候群が最多

致死的な有害事象 (AE) は59例 (GIV13例、 GV14例、 RV14例、 CIT18例) に認められ、 そのうちリヒター症候群が10例と最も多く認められた。

2次癌のうち非黒色腫皮膚癌 (NMSC) とリヒター症候群を除いた二次原発悪性腫瘍 (SPM) の追跡調整発現率 (1,000患者月あたり) はそれぞれ2.2、 1.2、 1.5、 2.0で、 NMSCは0.7、 1.1、 1.1、 2.2、 リヒター症候群が0.2、 0.6、 0.5、 0.5だった。

結論

GIVはPFSを改善も、 他要因の考慮が必要

Fürstenau氏は 「GIV療法は、 標準療法であるGV療法と比較しPFSを有意に延長するが、 両レジメンの比較にはOS、 毒性、 QOLなどの要因を考慮する必要がある」 と報告した。

出典

¹⁾ N Engl J Med. 2023 May;388(19):1739-1754.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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