【確定申告】所得控除のちょっとした知恵
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3ヶ月前

【確定申告】所得控除のちょっとした知恵

【確定申告】所得控除のちょっとした知恵
確定申告の緊急連載「医師による医師のための確定申告」。 4回目のテーマは 「所得控除のTIPSについて」 です。 
※本記事は執筆者の個人的な意見です。 税制に関してはグレーな部分も多いため、 詳細は税務署や税理士にご確認ください。

所得控除とは

【確定申告】所得控除のちょっとした知恵

控除とは 「一定の金額を差し引く」 という意味で、 所得控除と税額控除の2種類があります。 「所得控除」 は課税対象となる所得金額を減らすことができ、 「税額控除」 は税金そのものを減らすことができる制度です。

医師は比較的高収入です。 所得控除による節税効果も高くなるため、 しっかりと活用しましょう。

【確定申告】所得控除のちょっとした知恵

所得税の所得控除には上記の15種類があります。 このうち①雑損控除②医療費控除⑦寄付金控除――の3つは年末調整で控除できないため、 確定申告を行う必要があります。 これらを全部説明するとスペースが足りないため、 特に注意したいポイントに絞ってご説明します。

医療費控除の注意点

【確定申告】所得控除のちょっとした知恵
国税庁ホームページより筆者引用

医療費控除とは、 本人や配偶者、 そのほかの親族のために支払った医療費が10万円を超える場合に利用できる所得控除です。 民間生命保険などで保険料が返ってきた分は差し引かれ、 上限は200万円となります。

ここで注意したいのは、 親族は 「生計を一にしている」 が条件で、 同居は要件ではないという点です。 「別居でも余暇では生活を共にしている」 「生活費や学費、 療養費などの送金が行われている」 ケースは対象内となり得ます。 ただ、 この立証はかなり大変なので、 送金履歴などエビデンスを残す必要があるでしょう。

【確定申告】所得控除のちょっとした知恵

また、 病院で払う医療費以外にも上記のようなものにも適用されます。 医療費が10万円を超えそうな方は関連しそうな領収書を取っておきましょう。

これらの入力も国税庁の 「確定申告書等作成コーナー」 から行えます。 マイナポータル連携を利用すれば手間が減ります。 連携できなかったものは、 領収書の枚数が少なければ1枚1枚入力してもいいですが、 枚数が多い場合は国税庁の 「医療費集計フォーム」 からダウンロードし、 作成してからアップロードする方法が手間が少ないです。 エクセルなので、 医師であれば簡単に作成できるでしょう。

なお、 2017年より領収書の提出は不要になりましたが、 申告後に税務署から領収書の提示を求められる可能性もありますので、 5年間保存する必要があります

生命保険料控除の注意点

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国税庁ホームページより筆者引用

生命保険料控除は2011年を境に制度が変更になっています。 旧制度との併用など詳しい基準などは省略しますが、 この控除を最大限に利用しようとすると、 生命保険、 介護保険、 個人年金の保険料が各8万円/年とするのがいいという結論になります。

ただ、 日本は公的な保険制度が充実しており、 生命保険は必要最小限でいいかなと個人的には考えます。 保険を資産形成の手段として使っている方が意外と多いですが、 本来保険は 「確率は低いけれども起こるとダメージが大きいもの」 を皆でリスクを分担しようという制度です。

ここに資産形成の役割を載せようとすると効率が悪くなるので、 資産形成は普通に投資信託などで切り分けたほうがいいでしょう

寄付金控除の注意点

寄付金控除で一番分かりやすのは、 ふるさと納税です。 本来は自分の住まいがある自治体に納税する税金を、 任意で選択した自治体に寄付することで、 実質負担2000円で返礼品というメリットを享受できる仕組みです。

確定申告に関連した1つ目の注意点は、 「ふるさと納税ができる上限額が給与所得金額によって変動する」 点です。 医師は外勤によって収入の変動が大きいため、 各病院からの給与収入をエクセルなどで記録にとり、 自分の収入がどの程度になるか把握し、 少し余裕を持たせた納税にしないと損をしてしまう可能性があります

2つ目の注意点は、 「確定申告をしないと本当の単なる寄付になってしまう」 点です。 マイナポータル連携などを利用して、 漏れがないようにしましょう。

ふるさと納税返礼品は 「一時所得」

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国税庁ホームページより筆者引用

上図を見て下さい。 3つ目の注意点は、 厳密に言うと 「ふるさと納税の返礼品は上記④法人から贈与された金品に相当し、 一時所得になる点」 です。 一時所得には50万円の特別控除があるため、 還元率30%で計算すると166万円分のふるさと納税 (独身の場合、 給与所得4,400万円以上) だと引っかかる計算になります。

「普通の勤務医には関係ないじゃん」 と思うかも知れませんが、 一時所得は上記①~⑥の合計です。 例えば万馬券を当てたり (負けた分は経費計上できません)、 生命保険等の解約金や満期金があったりする場合に注意が必要です。 万が一ふるさと納税の返礼金額が50万円を上回った場合には、 返礼品の価値を正確に算定するのは困難となります。 必要時には寄付金額の30%を一時所得として申請すれば税務署はスルーしてくれます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは

  • 医療費控除は生計を一にしている親族が対象で、 様々な費用が対象となる
  • 介護保険、 個人年金はそれぞれ年8万円にするのが効率的だが、 生命保険は必要最小限でいい
  • ふるさと納税の限度額を把握できるように外勤先の給与なども集計しよう。

となります。 次回は税額控除の中で見落としがちな項目について見ていきます。

【確定申告】所得控除のちょっとした知恵

参考資料

LikeU あなたらしさを応援するメディア : 確定申告の医療費控除とは?その対象や申請方法についてわかりやすく解説 (2023.10.26更新)

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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