【NEJM】成人の栄養不良 総説 「何が分かる?」
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医療の最前線から

13日前

【NEJM】成人の栄養不良 総説 「何が分かる?」

【NEJM】成人の栄養不良 総説  「何が分かる?」
世界の注目総説論文を紹介する 「医療の最前線から」。 今回は、 2024年7月のNEJMに掲載された 「成人の栄養不良」 に関する総説を取り上げます。 
低栄養は慢性疾患や急性疾患の有害な結果として認識されており、 筋肉や臓器量の減少、 身体・精神機能の低下を招き、 臨床アウトカムを悪化させる重篤な状態です。 
この総説では、 グローバルな診断基準であるGLIM基準や、 各種疾患・病態に応じた具体的な栄養管理戦略が体系的にまとめられています。

この論文で学べる13の要点

❶65歳超入院高齢者の有病率は「20~40%」

 施設入所者では最大50%に達する。 早期評価が重要

❷終末期慢性疾患の「20~50%」が低栄養合併

 COPD、 うっ血性心不全、肝硬変、慢性腎不全など

❸病態は「炎症関連」と「欠乏関連」の2経路

 炎症 (食欲不振・組織分解亢進)、 欠乏 (摂取・吸収低下) が交錯

❹「CRP30mg/L超」時に栄養摂取が著減

 急性疾患の高齢入院患者の報告。栄養供給しても筋肉減少

❺入院・入所後「24~48時間以内」にリスク評価

 NRS-2002等のツールで早期評価し、 栄養介入の遅れを防ぐ

❻診断は「GLIM基準」が有望

 表現型(体重減少等)・病因(摂取低下等)を各1項目以上満たす

❼血清アルブミンは「栄養指標として非推奨」

 負の急性期反応蛋白であり、 炎症などの影響を受ける

❽非重症の目標エネルギーは「25~30kcal/kg/日」

 専門家コンセンサス:移動可能者30kcal、 寝たきり患者25kcal

❾入院・重症の治療初期は「18~20kcal/kg/日」

 必要量の70~75%で開始し過剰投与を避ける

❿急性疾患時の蛋白目標は「1.2~1.5g/kg/日」

 熱傷・多発外傷は1.5~2.0g/kg/日以上。肝・腎不全ではより低値

⓫経口栄養補助食品で退院後死亡率「約50%減」

 NOURISH試験 : 低栄養高齢患者の退院後にONS3ヵ月間継続

⓬リフィーディング症候群予防で「P・K・Mg」監視

 栄養再開(インスリン分泌)に伴う血中濃度低下で心・呼吸不全を招く

⓭重度低栄養への再栄養時は「チアミン補充」

 ウェルニッケ脳症予防。 カロリー・水分を減量して4~7日かけ漸増

原著論文で詳細を確認する

Malnutrition in Adults. N Engl J Med. 2024 Jul 11;391(2):155-165.

編集部が選ぶ5つのポイントは?

❶新たに発表されたGLIM基準の重要性

Global Leadership Initiative on Malnutrition (GLIM) の略で、 欧州・米国・アジア・南米など世界の主要な臨床栄養学会により提唱された新しい成人低栄養診断基準。

Clin Nutr. 2019 Feb;38(1):1-9. PMID: 30181091

従来の食物摂取不足による低栄養に加え、 医療施設における疾患に関連した低栄養も考慮されている。 GLIM基準を用いて、体重減少、低BMI、低筋肉量、 炎症負荷を評価し、 栄養不良の診断を確立することが推奨される。

🔢GLIM基準 (低栄養の診断基準)

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❷栄養リスクスクリーニングの重要性

入院後24~48時間以内に栄養リスクのスクリーニングを行い、 栄養不良リスクを早期に特定することが重要である。 NEJM掲載のスクリーニングは以下のとおりである。

🔢MST 🔢MUST 🔢NRS-2002 🔢SNAQ

HOKUTOが提供する計算機能に遷移します

❸リフィーディング症候群予防の重要性

栄養療法開始時にはリフィーディング症候群を防ぐため、 ブドウ糖や電解質、水分の投与を慎重に行い、 電解質、 心臓、 呼吸のモニタリングが必要である。

❹エネルギーとタンパク質の必要量

移動可能な患者では30kcal/kg、 寝たきりの患者では25kcal/kgが目安とされる。 タンパク質量は健康な成人では0.8~1.5g/kg/日が推奨されるが、 議論が分かれ、 各疾患により判断する。

❺栄養不良の疫学

高齢者の5~10%、 入院患者の20~40%、 施設入所者の最大50%が栄養不良のリスクがあるとされ、 特に慢性疾患や急性疾患に伴う炎症が大きな要因となる。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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