医療の最前線から
3ヶ月前
世界中の注目レビュー論文を紹介する新連載 「医療の最前線から」 です。 第1回は、2024年のNEJM誌に掲載された成人の栄養不良に関するレビュー論文を取り上げます。 本論文は、 栄養不良がもたらす臨床的影響と、 その診断・治療に関する最新の知見を概説しています。
💡 低栄養の病態生理について
💡 低栄養の新しい診断基準について
💡 低栄養のスクリーニング方法について
💡 必要カロリーと必要タンパク量について
💡 リフィーディング症候群について
原著論文で詳細を確認する
Malnutrition in Adults. N Engl J Med. 2024 Jul 11;391(2):155-165. PMID: 38986059
Global Leadership Initiative on Malnutrition (GLIM) の略で、 欧州・米国・アジア・南米など世界の主要な臨床栄養学会により提唱された新しい成人低栄養診断基準。
従来の食物摂取不足による低栄養に加え、 医療施設における疾患に関連した低栄養も考慮されている。 GLIM基準を用いて、体重減少、低BMI、低筋肉量、 炎症負荷を評価し、 栄養不良の診断を確立することが推奨される。
入院後24~48時間以内に栄養リスクのスクリーニングを行い、 栄養不良リスクを早期に特定することが重要である。 NEJM掲載のスクリーニングは以下のとおりである。
栄養療法開始時にはリフィーディング症候群を防ぐため、 ブドウ糖や電解質、水分の投与を慎重に行い、 電解質、 心臓、 呼吸のモニタリングが必要である。
移動可能な患者では30kcal/kg、 寝たきりの患者では25kcal/kgが目安とされる。 タンパク質量は健康な成人では0.8~1.5g/kg/日が推奨されるが、 議論が分かれ、 各疾患により判断する。
高齢者の5~10%、 入院患者の20~40%、 施設入所者の最大50%が栄養不良のリスクがあるとされ、 特に慢性疾患や急性疾患に伴う炎症が大きな要因となる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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