HOKUTO編集部
9日前
名古屋大学は5月7日、 同大学大学院皮膚科教授の秋山真志氏ら世界各国から集った遺伝性角化症のエキスパートおよび患者会の代表からなる 「Reclassifying Epidermal Differentiation Disorders Initiative (REDDI)タスクフォース」 が、 遺伝的な表皮の分化障害による疾患の国際病名を包括的かつ抜本的に改訂したと発表した。
近年、 遺伝性角化症の病因遺伝子バリアントの解明は大きな進歩を遂げ、 遺伝子バリアントによる表現型の形成機序の解明も進んでいる。
また多くの皮膚疾患では、 発症機序に関する理解が進んだことで新たな治療法が開発されてきており、 遺伝性角化症においても、 病因遺伝子産物の機能に基づいて疾患を分類することで、 新たな標的療法への道が開かれる可能性が出てきた。
しかし、 遺伝性角化症には依然として非常に多数の異名や誤称があり、 発症機序、 病態に基づいて分類されておらず、 治療法開発に十分役立っているとはいえないという。
そのような状況において、 新たに明らかになった病因・病態についての知見を反映した遺伝性角化症の国際病名や、 病型分類の見直しが希求されていた。
❶表皮分化障害による疾患は「表皮分化疾患」へ
❷病因分子で再分類、 新病名に病因遺伝子組入
❸侮蔑的とも考えられる用語などが排除
従来の 「魚鱗癬」 や 「掌蹠角化症」 などの病名をすべて廃し、 これら以外も含めて、 表皮の分化障害による疾患全体が 「表皮分化疾患 (Epidermal Differentiation Disorder;EDD) 」 と命名された。
またEDDは、 以下の3つに分けられた。
各疾患は病因分子の機能により再分類され、 各疾患の新病名には病因遺伝子が組み入れられた (下の例と図を参照)。
例)
新病名では、 「魚鱗癬」 や 「道化師様」 などの、 患者や家族にとって侮蔑的とも考えられる用語や、 人名に由来する病名が完全に排除された。
今回の改訂によって、 患者自身および周囲における遺伝性角化症の病因・病態理解の促進のみならず、 医療機関においてもより適確な治療を提供できるようになることが期待される。
また、 病因分子の機能と関連経路に基づくnEDDの分類、 各疾患の病因遺伝子の明確化は、 新規治療法の開発や他疾患のために開発された薬剤のリパーパシングにもつながることが期待できるという。
なお本研究の詳細はBr J Dermatol. 2025年5月1日オンライン版に掲載されている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。