Aggarwalらは, 活動性皮膚筋炎の成人患者を対象に, 免疫グロブリン静注療法 (IVIG) の有効性と安全性を検討する無作為プラセボ対照試験を実施 (ProDERM試験) . その結果, IVIG群のほうがプラセボに比べ, 主要評価項目 (奏効:TlS 20以上) の達成率が高かった. 本研究は, NJEM誌において発表された.
📘原著論文
Trial of Intravenous Immune Globulin in Dermatomyositis. N Engl J Med. 2022 Oct 6;387(14):1264-1278.PMID: 36198179
👨⚕️HOKUTO監修医コメント
モノクローナル抗体治療が主流となった現代において, 免疫グロブリン製剤のようなポリクローナル抗体による治療はある種の違和感を感じるかもしれません. しかしながら, 皮膚筋炎のように多様な抗体から構成される疾患においては, ポリクローナル抗体はその効果が十分に期待できると思います.
背景
皮膚筋炎に対するIVIGは, これまで広く評価されていない.
研究デザイン
- 対象:活動性の皮膚筋炎患者.
- 患者を以下の2群に1:1の割合で割り付け.
- IVIG群:47名 (体重1kgあたり2.0gのIVIG)
- プラセボ群:48名 (体重1kgあたり2.0gのプラセボ)
それぞれ4週おきに16週間投与
- プラセボを投与された患者, およびIVIG投与中に臨床的な悪化が確認されなかった患者は, 24週間の非盲検延長試験を行った.
- 主要評価項目:奏効 (16週目のTIS 20以上, 16週目まで悪化が確認されないことと定義)
- 副次評価項目:中等度以上の改善 (TIS≧40) , 大きな改善 (TIS≧60) , 皮膚筋炎病変面積・重症度指数のスコアの変化.
研究結果
有効性評価
- 16週時点におけるTIS20以上
- IVIG群:79% (47人中37人)
- プラセボ群:44% (48人中21人)
差 35%ポイント, 95%CI 17-53, P<0.001
- 副次評価項目に関する結果は, CK値の変化 (TISの個々の中核指標) を除いて, 主要評価項目の解析結果と概ね同じであり, 両群間で有意差は認められなかった.
安全性評価
- 40週の間に, 頭痛 (42%) , 発熱 (19%) , 吐き気 (16%) など, 282件の治療関連有害事象がIVIG群において発生した.
- IVIGに関連すると考えられる重篤な有害事象は合計9件発生し, そのうち6件は血栓塞栓性事象であった.
結論
成人の皮膚筋炎患者を対象としたこの16週間の試験において, 主要評価項目を達成した患者の割合は, IVIG投与群の方がプラセボ投与群よりも有意に多かった. IVIGは, 血栓塞栓症を含む有害事象と関連していた.