海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Li氏らは、 50歳以上の英国地域住民を対象に、 ペットの飼育や独居が高齢者の認知機能に及ぼす影響について、 前向きコホート研究ELSAのデータを用いて調査した。 その結果、 独居高齢者は同居者がいる高齢者に比べて認知機能の低下が進行しやすく、 ペット飼育はそれを遅らせることが示唆された。 本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。
JAMA特有のKey PointsのMeaningには
These findings suggest that pet ownership may be associated with slower cognitive decline among older adults living alone
と記載し、 suggestとmayを使用して弱い関連を示唆しています。
ペットの飼育が高齢者の一人暮らしと認知機能低下に及ぼす影響については、 依然として不明である。
英国の50歳以上の地域住民
ELSAは、 加齢がもたらす影響を総合的に調べるために実施されている、 2002年から現在進行中の前向きコホート研究であり、 参加者の健康状態や社会経済状態などを2年に1回の割合で追跡調査している。 本研究では、 第5回 (2010-2011年) から第9回 (2018~2019年) までのデータを利用して言語記憶と発話流暢性を評価した。
言語記憶、 発話流暢性
ペット飼育は、 言語的認知機能の複合スコアの低下速度が遅いことと有意な関連が認められた。
言語的認知機能の複合スコアの低下速度
β=0.008 (95%CI 0.002-0.014SD/年)
言語記憶の複合スコアの低下速度
β=0.006 (同 0.001-0.012SD/年)
発話流暢性の複合スコアの低下速度
β=0.007 (同 0.001-0.013SD/年)
独居は認知機能の低下速度を加速させていた。
複合言語的認知機能の低下速度
β=-0.021 (95%CI -0.027~-0.014SD/年)
言語記憶の低下速度
β=-0.018 (同-0.025~-0.011SD/年)
発話流暢性の低下速度
β=-0.015 (同 -0.022~-0.008SD/年)
同居者の有無で区分した層別化解析では、 家庭内に同居者がいる人では、 ペットの飼育と認知機能の低下の間に有意な関係は見られなかった。
一方、 一人暮らしの人ではペット飼育が認知機能の低下速度に関連していた。
複合言語的認知機能の低下速度
β=0.023 (95%CI 0.011-0.035) SD/年
言語記憶の低下速度
β=0.021(95%CI 0.008-0.034) SD/年
発話流暢性の低下速度
β=0.018(95%CI 0.005-0.030) SD/年
共同関連解析では、 一人暮らしのペット飼育者と同居者がいるペット飼育者の間で、 複合言語認知、 言語記憶、 言語流暢性の低下率に有意差は認められなかった。
ペットの飼育は、 特に独居高齢者の言語性記憶や言語性流暢性の低下速度を遅らせる可能性を示唆している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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