【NEJM】中高年者のビタミンDサプリメント摂取と骨折の発生率
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【NEJM】中高年者のビタミンDサプリメント摂取と骨折の発生率

【NEJM】中高年者のビタミンDサプリメント摂取と骨折の発生率
LeBoffらは、 ビタミンDサプリメントの摂取と骨折の発生率を2×2の要因ランダム化比較試験において検討. その結果、 健康な中高年者において、 サプリメント摂取は、 骨折のリスクを有意に低下させないことが明らかとなった. 本研究はNEJM誌において発表された.

📘原著論文

Supplemental Vitamin D and Incident Fractures in Midlife and Older Adults. N Engl J Med . 2022 Jul 28;387(4):299-309. PMID: 35939577

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント

ビタミンD₃のサプリメント摂取について科学的に評価した大変意義深い研究です. 日常生活においてさまざまなサプリメントの服用や民間療法が行われています. それらを多くの科学者は効果がない, 怪しいと決めつけてしまうことが多いですが, 科学的視点から正確な評価を行い, 情報を公開していくことが大切です.


背景

ビタミンDサプリメントは、 一般的に骨の健康状態維持のために広く推奨されているが、 骨折を予防するかどうかに関するデータは一貫していない.

研究デザイン

Vitamin D and Omega-3 Trial (VITAL) の付随研究として、 ビタミンD3サプリメント摂取がプラセボよりも骨折のリスクを低くするかどうかを検証.
  • 対象は50歳以上の男性と55歳以上の女性で、 ビタミンD₃ (2000IU/日)、 n-3系脂肪酸 (1g/日)、 またはその両方のサプリメントががんと心血管疾患を予防するかを調べた2×2の要因ランダム化比較試験を実施.
  • 参加者は、 ビタミンD欠乏症、 低骨量、 骨粗鬆症を理由に募集されたものではない. 骨折の発生は、 参加者が毎年アンケートで報告し、 集約された医療記録のレビューによって判定された.
  • 主要評価項目:全骨折、 非椎体骨折、 および股関節骨折の発生. intention-to-treat解析における治療効果の推定には、 比例ハザードモデルを使用した.

結果

追跡期間中央値:5.3年間

有効性評価

  • 25,871人 (女性50.6% [25,871人中13,085人] 、 黒人20.2% [25,304人中5106人] ) 中、 1551人で1991件の骨折を確認した (ビタミンD群:12,927人中769人、 プラセボ群:12,944人中782人) .
  • 全骨折
  • ハザード比 0.98, 95%CI 0.89~1.08, P=0.70
  • 非椎体骨折
  • ハザード比 0.97, 95%CI 0.87~1.07, P=0.50
  • 股関節骨折
  • ハザード比 1.01, 95%CI 0.70~1.47, P=0.96
  • 年齢、 性別、 人種または民族、 体格指数、 血清25-ヒドロキシビタミンD値などのベースライン特性による治療効果の調整はなかった.

安全性評価

  • 親試験で評価された有害事象には、 グループ間の実質的な差はなかった.

結論

ビタミンD欠乏、 低骨量、 骨粗鬆症のいずれでもない、 一般に健康な中高年者において、 ビタミンD₃のサプリメント摂取は、 プラセボと比較して骨折のリスクを有意に低下させなかった.

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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