海外ジャーナルクラブ
11日前

Repplingerらは、 フランスの大学関連26施設の集中治療室 (ICU) に入室したてんかん重積状態の成人1,123例を対象に、病因検索で行われる各種検査の診断収率および治療への影響について前向きコホート研究で検討。 その結果、 検査前確率が高い患者では、 第一選択の検査により8.5~44.5%で疑われた病因が確認され、 22.1~35.1%で病因が再分類されるなど、 検査の診断収率および治療への影響は検査前確率に大きく左右されることが示された。 研究結果はNeurology誌に発表された。
検査は担当医の判断で実施され、 均一ではないため検証バイアスがあること、 特に傍腫瘍性/自己免疫検査の実施率は13.2%と低いことを踏まえると、 診断率の解釈には注意が必要です。
てんかん重積状態は、 迅速な対症療法と病因の特定および治療を必要とする重篤な神経救急疾患である。 一方、 病因検索で行う各検査が診断にどの程度結びつくのか (診断収率) については明らかになっていない。
本研究は、 検査前確率により層別化をした上で、 てんかん重積状態の病因検索における各種検査の診断収率と治療への影響を評価することを目的とした。
ICTALレジストリに基づく前向き多施設コホート研究で、 2018~25年にてんかん重積状態のためフランスの大学関連ICU 26施設に入室した18歳以上の成人1,123例を組み入れた。 参加者は事前規定の診断プロトコル*に従って病因検索を受けた。
主要評価項目は各検査の診断収率とし、 てんかん重積状態の病因について①病因の確定 (confirmation)、 ②追加診断 (codiagnosis)、 ③再分類 (reclassification) のいずれかに至った場合と定義した。 副次評価項目は、 検査結果に直接起因する治療・管理方針の変更とした。
対象の1,123例の年齢中央値は60歳、64%が男性で、 90%が運動症状優位のてんかん重積状態であった。
解析の結果、 検査前確率の高い層では第一選択の検査で推定病因が8.5~44.5%で確定し、 22.1~35.1%で再分類された。 確定率は、 アルコール/中毒/医原性の病因における薬毒物スクリーニングで44.5%、 誘発因子におけるASM濃度測定で44.0%、 非感染性脳炎における傍腫瘍性/自己免疫性検査で40.0%と高かった。
一方、 血管性病因における頭部CTは28.0%、 脳腫瘍における頭部CTは27.7%、 代謝性病因における臨床検査は21.4%、中枢神経 (CNS) 感染症における腰椎穿刺は17.2%であった。
病因の再分類率が最も高かった検査は脳MRIであり、 CNS感染症、 代謝性病因、 非感染性脳炎、 後遺症では27.8~35.1%で病因が再分類された。 なかでも、 非感染性脳炎における再分類率が35.1%と最も高かった。
頭部CTによる再分類率は22.1~27.9%であった。 また、 代謝性病因の検査前確率が高い患者では、 薬毒物スクリーニングにより32.4%で病因が再分類された。
検査結果に起因する治療・管理方針の変更は、 脳MRI後 (最大58.3%)、 頭部CT後 (最大56.9%)、 腰椎穿刺後 (39.4%)、 傍腫瘍性/自己免疫性検査後 (33.3%)、 ASM濃度測定後 (最大35.1%) に多くみられた。
著者らは、 「てんかん重積状態の病因検索の診断収率と治療への影響は臨床的な検査前確率に大きく左右されることが示されたことから、 検査前確率に応じた検査戦略が病因特定と適時かつ適切な介入につながる可能性がある」と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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