【NEJM】特発性CD4リンパ球減少症、日和見感染や癌の高リスクと関連
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1年前

【NEJM】特発性CD4リンパ球減少症、日和見感染や癌の高リスクと関連

【NEJM】特発性CD4リンパ球減少症、日和見感染や癌の高リスクと関連
Liscoらは、 特発性CD4リンパ球減少症 (ICL) の患者を対象に、 その臨床的、 遺伝的、 免疫的、 予後的特性を検討。 その結果、 ICLは引き続き、 日和見感染、 癌のの高リスク、 自己免疫の低リスクと関連していた。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Reappraisal of Idiopathic CD4 Lymphocytopenia at 30 Years.N Engl J Med. 2023 May 4;388(18):1680-1691. PMID: 37133586

👨‍⚕️監修医師のコメント

1993年にHIVではないCD4リンパ球減少症が報告され、 タスクフォースが形成されて、 ゲノム解析も行われての30年後の報告です。 今なお原因ははっきりと特定された訳ではありませんが、 少しずつ予後との関連が明らかになってきた段階のようです。


背景

ICLは、 原発性または後天性の免疫不全の原因がない場合に、 CD4リンパ球が1mm³あたり300個未満であることで定義される臨床症候群である。 ICLが発見されてから約30年が経過したが、 診断や治療法の革新にもかかわらず、 予後や管理に関するエビデンスが乏しく、 原因不明の疾患であることに変わりはない。

研究デザイン

対象

ICLの患者:108例

解析方法

  • リンパ球減少症の遺伝的原因を特定するために、 全エクソームおよび標的遺伝子シーケンスを実施。
  • T細胞数の軌跡の縦断線形混合モデル解析を行い、 臨床イベント、 コロナウイルス疾患2019 (Covid-19) に対する予防接種に対する反応、 死亡率の予測因子を評価。

研究結果

CD4+T細胞数の中央値

患者のCD4+T細胞数の中央値は80個/mm³であった。

最も多く見られた日和見感染症

  • ヒトパピローマウイルスに関連する疾患:29%
  • クリプトコッカス症:24%
  • 伝染性軟属腫:9%
  • 非結核性抗酸菌症:5%

CD4低値群と高値群の差

CD4低値群 (100個/mm³未満) は、 CD4高値群 (101-300個/mm³) の場合と比較して、 日和見感染症 (OR 5.3、 95%CI 2.8-10.7) および浸潤癌 (OR 2.1、 95%CI 1.1-4.3) の高リスク、 自己免疫の低リスク (OR 0.5、 95%CI 0.2-0.9) と関連していた。

死亡リスクと癌有病率

死亡リスクは、 年齢と性別で調整した一般集団と同様であったが、 癌有病率はより高かった。

結論

ICLは引き続き、 日和見感染、 癌の高リスク、 自己免疫の低リスクと関連していた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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