海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Felipらは、 未治療のEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 二重特異性抗体アミバンタマブ+第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ラゼルチニブ併用療法の効果について、 オシメルチニブ単剤を対象に比較検討した第Ⅲ相無作為化比較試験MARIPOSAの2次解析の結果を報告した。 その結果、 高リスクサブグループにおいてもアミバンタマブ+ラゼルチニブ併用療法による無増悪生存期間 (PFS) の有意な延長が示された。 本研究はAnn Oncolにおいて発表された。
クリアな結果ですが、 RCTの2次解析結果であり、 あくまでも仮説の提唱である点には注意が必要です。
アミバンタマブ+ラゼルチニブ併用療法はオシメルチニブ単剤療法に比べ、 未治療でEGFR変異陽性の進行NSCLCのPFSを有意に延長することがすでに報告されている¹⁾。
今回は、 特に高リスクのバイオマーカーを有するサブグループ (TP53共変異、 検出可能な循環腫瘍DNA [ctDNA]、 ベースライン肝転移を有する例、 治療中にct-DNAの消失を認めない例) の転帰が評価された。
本研究は、 未治療で18歳以上の局所進行/転移EGFR遺伝子変異陽性 (exon19欠失変異またはL858R変異) NSCLCのうち、 アミバンタマブ+ラゼルチニブ群またはオシメルチニブ群に無作為に割り付けられた患者を対象とした。
ベースライン血中ctDNAの次世代シークエンシング (NGS) により、 Guardant360 CDxを用いて病原性変化を同定した。 血液中のExon 19欠失およびL858R ctDNAは、 ベースラインおよび3サイクル目の1日目に、 Biodesix 液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応 (ddPCR) を用いて解析した。
主要評価項目は、 オシメルチニブ群と比較したアミバンタマブ+ラゼルチニブ群のPFS中央値 (mPFS) とした。
TP53遺伝子共変異患者のmPFS
HR 0.65 (95%CI 0.48-0.87)、 p=0.003
野生型TP53患者のmPFS
HR 0.75 (95%CI0.52-1.07)
検出可能なctDNAを有する患者のmPFS
HR 0.68 (95%CI 0.53-0.86)、 p=0.002
治療中にct-DNAの消失を認めない患者のmPFS
HR 0.49 (95%CI 0.27-0.87)、 p=0.015
治療中にct-DNAの消失を認めた患者のmPFS
HR 0.64 (95%CI 0.48-0.87)、 p=0.004
ベースラインでの肝転移を有する患者のmPFS
HR 0.58 (95%CI 0.37-0.91)、 p=0.017
ベースラインでの肝転移がない患者のmPFS
HR 0.74 (95%CI 0.60-0.91)、 p=0.004
著者らは 「アミバンタマブ+ラゼルチニブ併用療法は、 未治療でEGFR変異陽性の進行NSCLCにおいて高リスクの特徴による影響を克服しており、 有望な新しい標準治療となり得る」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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